17 ページ17
手を引かれ、着いたのははじの席だった。
フロイド先輩が奥の席にすわるんだ、と関心していた。
ここでお昼を食べるのだろうか。
横を見ると弁当箱を開け、弁当箱のデザインについて話す。
「これ、カワイーでしょ？ジェイドとおそろいなの。」
俺のお気に入りなんだ。と話す彼の弁当箱のデザインはタコだった。アズール先輩か、と考える間もなく分かる。
そういえばフロイド先輩の好物はたこ焼きだったな、と考えながら私も自分の食べ物を机の上に出す。
「えーっ。そんなんで足りんのぉ？」
声を大きくする彼にびっくりする。
私の昼ご飯は購買で買ったパン2つだ。大体はこれくらいで満足するだろう。
ジェイドはもっと食べるよ？なんて聞こえるがジェイド先輩と普通の人間を比べるのはナンセンスというものである。
「わ、私は…これで…大丈夫…なので…。」
途切れ途切れで小さく、ゆっくりと話す。
聞こえているか不安だ。もし聞こえてなくても何となくフロイド先輩なら意味は分かるだろう。
「ふ〜ん。」
気まずい。興味のないことには干渉しない先輩と人見知りで内気の私では食べている間、話すことはなにもない。
今までも先輩が一方的に喋っているだけでとても会話とは言えなかったが、一方向のコミュニケーションはしていた。
だが今はどうだろう。
どちらも喋らずただ黙々とご飯を食べている。
話した方がいいのだろうか。いや、これで変な態度を取ってしまったらどうなるか分からない。なんて人見知り特有の考えが行ったり来たりする。
「…ねぇ。」
「は、はいっ…。」
このまま黙って食事が終わるかと思いきやどこか遠くを見ながら話す先輩。
空気が変わり、少し緊張する。
「放課後、用事ないでしょ？」
遠くを見つめながら話を続ける。
「はい…。」
私は相手の顔を見れないので下を向いている。どちらとも話しているのにお互いの顔見ていない。極めて謎な光景だ。
そして放課後に私の用事がないことが先輩の中では決定している。
私に用事があればどうしていただろうと考えるが、私の意見は聞かれないだろうと早めの答えが出る。
「ならさ、ラウンジ来てよ。今日。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りん | 作成日時：2021年7月25日 16時
