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あっという間に時間は過ぎ、もうお昼を食べる時間だ。疲れた私の体は自然と空腹になる。
私の知らないところでエペル君はジャックと仲良くなっていて、お昼の時に紹介するから一緒にどう、と誘われたが二人の邪魔をするのは忍びなくやんわり断っておいた。
エペル君以外に友達と呼べる人は居ない為、一人で食堂へ行くことになる。もちろん食べる時も一人だ。
エペル君と居た時間が長く少し寂しさを感じ、ついて行けば良かった。なんて考えが頭によぎるが、せっかく他の人と仲良くなっているのなら私は居ない方がいいだろうと思い直す。
「ねぇ稚魚ちゃん。お昼一緒に食べよぉ？」
「っ…！？」
急に後ろから肩に手を置かれ、必要以上に体が揺れる。そのまま前に倒れそうになり、それをフロイド先輩が左手だけで私のお腹に手を回し、体を支える。
「なにやってんの〜？やっぱ稚魚ちゃん面白すぎ〜。」
大笑いする声が後ろからする。
力があるのか片手で私を支えていてもフロイド先輩はその場から足を動かさない。
私は上手く状況が掴めず、支える為にあるフロイド先輩の左手にしがみつくように自分の両手を触れさせる。
右手はフロイド先輩の手を掴んでいるが、左手に至っては彼の左腕をがしっと思いきり制服の上から鷲掴みにしていて、自分の体に引き寄せている。
「…いつまでつかんでんのぉ？」
気だるげな声が聞こえる。
顔が見えないためどんな気持ちで言っているのか分からない。
怒らせたかもしれない。こういう時は謝るのがいい。そう確信し、慌てて絡ませた腕と体を離す。
「す、すみません…。」
「ま、いいけどぉ〜。ほら、ご飯食べるよ。」
腕を掴まれ引きずられるように連れていかれる。
どこへ行くか分からなかったが、とりあえず怒っていなくて良かった。という安心の方が強かった。
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作者名：りん | 作成日時：2021年7月25日 16時
