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更衣室まで一緒に行った。手前で足が止まる。
ここは男子校。もちろん、更衣室も男子専用。
私が入っていいのだろうかと考える。
ずっと立ち止まっていると、
「ロウクン？どうしたの？」
更衣室に先に入ったエペル君に不思議そうな顔をされる。
「い、いや。入っていいのかなって…。」
うつむきながらなるべく見ないようにして答える。そんな百合の花のように首が落ちている私を見て、
「何言ってるの。入っていいに決まってるよ。」
とても可愛らしく微笑むエペル君。
ずっと考えていてもしょうがない、不可抗力だ。
さっきまで不安そうな態度だったのが嘘のように堂々と更衣室へ入っていく。
当たり前のことだが、下着しか身につけていなかったり、恥ずかし気もなく着替えている。
なぜか全裸の人もいたが。
私も着替えるが、体操着を脱ぐわけにはいかない。だから体操着の上に制服を着る。
個人的にはけっこう良い感じのスタイリストだとは思っている。
だが、私のように制服の下に体操着をきる生徒が居るわけはなく、エペル君が私の着替えをまじまじと見る。
「ど、どうしたの…？」
「ご、ごめん。体操着脱がないんだなって。」
やはりエペル君から見ても不思議な光景らしい。
謝るが、私の着替えからは目を逸らさない。
そんなに珍しいだろうか。異世界では浸透していないのだろうか、と考えをめぐらせる。
「うん。汗かいてないし、制服を脱いだらすぐに動きやすい格好になるから…。」
「そうなんだ。着替える時間が短くなるのはいいかも…？」
それからいくつか会話を交えたが、異世界の文化を実感させられた。だが似たような文化はいつくかあり、頭が混乱しそうになる。
無理もない。思ってみれば異世界に来て2日目。
私のようにこう短期間で適応する方が珍しいのだ。少し今日は色々なことがあったし、頭を休めようと浮かんだ時間だった。
更衣室から出て教室に帰るまでにもエペル君と話し、知らないことが多く知れた。
意外にも盛り上がり、とても楽しかった。
私はエペル君にしか聞こえないような声で相づちをうっていただけだが。
それでも友達が出来たことは嬉しく、ああこういう感覚なんだな、と知らない間に私は笑顔でエペル君の話を聞いていた。
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作者名：りん | 作成日時：2021年7月25日 16時
