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飛行術の授業にはギリギリ間に合った。なぜなら私は制服の下に体操着を着るタイプだからだ。
私の体操着は半袖、半ズボンと２つに別れており、みんなのような一つになったデザインではない。
そのおかげで人前で制服を脱げるし安心だ。
我ながら関心しているとエペル君に声をかけられる。
「ねえ、大丈夫だった？」
心配そうに話しかけてくれる。
小さいことだろうが、今の私にはとても嬉しく感じる。心いっぱいに噛み締めた。
本当でも、大丈夫じゃないよ。なんて言えるわけがない。
「うん。なんとか…？」
「おめぇ、意外とケンカ強いタイプだか？」
「え？」
急な訛りに驚き、質問よりそっちに目がいく。
私が驚き黙っていると、エペル君が気付きあわてて説明をする。
「えっと…。僕、田舎から来たからたまに出ちゃうんだ。方言。でも、ヴィルさんには方言で喋るなって。あっ、えっとね、ヴィルさんっていうのは…」
そこからヴィル先輩の話題に移り、寮での生活のことになる。毎日マナーのレッスンを受けさせられるとか、よく分からない化粧品をつけられスキンケアを強要されるとか。
不満がほとんどだった。
そんな中ポツンと、
「僕、サバナクローが良かったんだ。」
なんてきこえた。
それになんて答えていいか分からず、
誰にでも入りたかった寮はあるよね。なんて、ありきたりなことしか言えなかった。
「僕ばっかり話してたね。ロウクンは入りたかった寮はあるの？」
急な質問で驚いた。
元々私は話すのが苦手だし、なにより自分の意見を言えない。だからいつも聞き手側にまわっている。
それに、正直どの寮でもやっていける気はしない。
「私は今のままでいいかな…。」
話しの広がらない、つまらない返しをしてしまった。言ったとたん後悔して下を向く。
「今の寮に満足してるんだね。いいなぁ。」
なんて予想外の答えが聞けた。
やっぱりエペル君はいいこだな、と実感した。
それと同時に鐘が鳴り、授業な終わる。
早く着替えなきゃ、なんて私を急かし一緒に歩く。
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作者名：りん | 作成日時：2021年7月25日 16時
