【双星の陰陽師】最強の妹は･･･？

番外編 天馬にぃとお花見3 ページ14

天馬side


コンッ


肩に何かが当たる


見てみるとそれは自分の妹の顔


A｢スースー｣


静かに寝息を立てながら寝ている


天馬｢寝てる･･･｣


かなり熟睡しているのか声を出しても起きない


自分の肩から彼女の頭を外し、自らの膝にのせる


その時に気づいた


天馬｢人にみたらしついてるって言ってたくせに自分にもついてんじゃねえか･･･｣


彼女の口元にみたらしがついていた


天馬｢人の振り見て我が振り直せ･･･だな｣


少し笑う


彼女の口元のみたらしを親指でとるとペロリとみたらしを舐めた


自分から遠ざけようとしたくせに彼女にそばにいて欲しいと願っていた自分は確実にいた


遠ざけても遠ざけても彼女が自分のそばにいようとしたことに喜んだ


天馬｢A･･･｣


彼女の名を呼び、膝の上にいる彼女の頭を撫でる


着物を着、髪を二つにわけて結っている彼女は陰陽師としての修行を受けてきたとは思えぬほど小柄で華奢


彼女は自分の妹とは思えぬほど優しさの塊である


自分から離れないで欲しい


ニコニコと笑う彼女のことを


優しく自分にくっついてくる彼女のことを


俺は愛しているのだ


だからこそ自分から離れて欲しくて、離れて欲しくない


こんな人殺しが兄でいて欲しくないだろう


離れた方がこいつは幸せなのだといつも思う


でも、愛おしくてたまらない可愛い妹に離れて欲しくない


でも本気で思うのは


『離れないで欲しい』


だった


自分の本心はそれなのであろう


ああA
離れないでくれ


俺のそばにいてくれるのは
俺が愛せるのは


天馬｢お前しかいないんだよ･･･｣


やわらかな春風が俺とAを包む


春の訪れを感じさせるそれは
時が進んでいることも感じさせる


天馬｢いつか離れちまうかもな･･･こいつを永遠に縛っとくことなんざ出来ねえからな｣


鸕宮家鸕宮家と言ってこいつのことを縛れるのもあと数年である


頭の良いコイツはあと数年で気づくはずだ


鸕宮より良いところはもっと他にあることに


それにお偉いじじい共がこいつと俺を比べだし、こいつのことを出来損ないだと言っている


傷ついてしまうのは目に見える


天馬｢警戒はしとくか･･･｣


俺は妹の頭を撫で、空を見上げる


天馬｢来年も花見しような･･･｣


眠っている妹にそう声をかけた


来年にはできなくなることを知らずに･･･

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