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「いくらなんでも遅すぎるんだゾ！」
数分待ってみたけれど現れる気配が無い。
グリム君は我慢出来ずとうとう怒鳴り声を上げた。
「まさかあいつ、逃げたんじゃないだろーな！」
流石にそんな無責任な事…と思ったけれど此処はナイトレイブンカレッジ。
そういう生徒がごまんと居る所。
「探しに行ってみようか」
あり得ると嘆くユウ君に少しでも希望を持ってほしくて私でも役に立ちそうな提案を持ち掛けた。
その横でグリム君がぷんぷんしてる。
確かに自分達だけに罰を押し付けて逃げられたら誰だって怒れちゃうよね。
今朝の話を詳しく聞いた所、どちらが悪いとかではなく喧嘩両成敗な感じだったから。
完全なる被害者はユウ君ただ一人だ。
「行くぞ子分！エースをとっ捕まえて窓掃除させてやるんだゾ！」
「子分？」
「どういう理由かそうなったみたいです」
「…大変だね」
隣であははと笑う彼が一年前の自分と重なった。
これは完全に諦めてる時の顔だ。
受け入れた方が楽だと考えてる時のそれだ。
もう被害者すぎて見てられないよ。
「何かあればいつでも相談に乗るからね」
用事無くても私で良ければ話し相手くらいなれると思うから。
私の言葉に目を丸くさせ、有難うございますと言うユウ君。
異世界から此処に飛ばされたらしい彼は私よりずっと心身共に疲弊してるだろう。
私だったら、きっと暴れ回ってるもん。
何か彼の力になれたら良いな。
「オラァ！エースは何処だ！隠し立てするとただじゃおかねーんだゾ！」
「グリム君、お口が悪いよ」
教室の扉を開けるなり大声で叫ぶ狸ちゃん。
でも中に生徒は誰一人と居なかった。
居るのは。
「私が居るよ」
言葉を発したのは黒の礼帽を被った肖像画のおじいさんだ。
「ふぎゃー！絵がしゃべった！？」
「喋る絵画なんかこの学校じゃ珍しくないだろう」
そう、沢山居るのです。
この部屋だって他にも飾られてる絵画が何枚かあるけど、全員お喋りする。
まあ幾ら何でもいきなり話し掛けられたら驚くよね。
相手が生身の人間でも吃驚するよ。
彼らはゴースト達と違って壁に落ち着いて座ってると言い張るのだけれど、私から見てもその違いはよく分からない。
「エースってヤツを探してるんだゾ」
「あぁ、新入生だね。寮に戻っていったようだけど」
おじいさんからの情報を受け取り、追いかける為に東校舎の奥に向かう。
「有難うございます」
「お安い御用さ」
このおじいさんが気性の荒い人じゃなくて助かった。
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りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして！そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです！ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります！ありがとうございます！ (2020年9月27日 0時) (
レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん | 作成日時：2020年8月27日 15時
