検索窓
今日:23 hit、昨日:30 hit、合計:256,901 hit

30 ページ30

遂に今日は待ちに待った『なんでもない日』のパーティー。

以前の重苦しい雰囲気とはまるで違う。

みんなの顔が、喜びで溢れている気がした。

仕切り直しの提案をしてくれたトラッポラ君には幾ら感謝しても足りないよ。


そういえば。

リドル君がオーバーブロットしてしまった日、医務室へ連れられる彼の様子が少し変だった。

珍しく頬に空気を溜めて私を見ていた気がする。

何をしでかしたか気になったけれど、特に何も言われなかったのでそのまま放置していた。


…やっぱり訊いた方が良かったかな。


若干の不安に煽られながら周りを見渡す。

其処には、お庭の片付けから準備まで任された事を嘆くトラッポラ君。

写真映えする飾り付けを満足気な顔で眺めるダイヤモンド先輩に、早くご飯が食べたいと強請るグリム君。

…彼はうちの寮生じゃないけれど誰も気にしてないみたいだし大丈夫だよね。


「ちょっと待って!その白い薔薇…」


嬉々としてみんなを見ていると、リドル君が急に声を上げる。

「げっ!塗り残し!?」
「あわわ…ちゃんと塗ってって言ったじゃん〜!」
「僕達の所為ですか!?」

彼らが慌てて弁解し始める様子を一人安全圏で眺めていた。

多分きっと、私以外は気付いてない。


「…なんてね」


悪戯っ子のように笑うリドル君と安堵のため息を漏らす周りの面々。

今までなら起こり得なかったであろう。

私も、こんな楽しそうに笑うリドル君は初めて見たかもしれない。

まだ少しだけ異質なこの光景が、どうかずっと、出来れば当たり前になるまで続いてほしい。

「何にやついてんすか」
「ううん。やっぱり怒った顔より笑顔の方が素敵だなあって思ってただけだよ」

みんなの慌て様が面白かったなんて言えない。

特にトラッポラ君の前では。

だって怖いんだもん。

「オレらを見て笑ってたでしょ」
「そんな事ないよ」
「ほらまた笑ってるじゃん」

私の否定なんてまるで意味がないらしく、彼の顔がどんどん膨れていく。

嘲ってた訳じゃないから安心してほしいな。


「A」
「どうしたの?」

遠くから私を呼ぶリドル君の声がしたので振り返ってみれば何故かまた見つめられてる。

というか、睨まれてる…?

「私、何かしちゃったかなあ」

やっぱり訊いとくべきだったのかなと頭を捻ってみるも、さっぱり分からない。

ふと視線に気付き横を向けば、今度は彼の瞳が私を映してる。

「なぁに?」
「いや。寮長も大変だなーと思っただけ」
「何それ」

31→←29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (116 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
362人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。