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急な事に驚いた私はお父さんとお兄ちゃんに電話をかけた。
どうしたら良いのか分からなかったし、涙が止まらなかったから。

しかし二人が私の電話を取る事はなかった。

二人も既にこの世には居なかったのだ。


私は知らなかった。
何故別々にならなきゃいけなかったのか、何故私だけ置いてけぼりにされたのか。

そして何故、三人は死んでしまったのか。

「なんでぇ…っ」

私一人だけでどうしていけと。
親戚も居ないんじゃあお葬式すらできないじゃない。
どうせなら連れて行ってほしかった。
なんで勝手に行っちゃうの。

生憎、今日は学校がありバイトも入ってる。
休めないし話して余計な心配をかけたくない。

完全なる遅刻だけど。

もう一度顔を洗って目の腫れをなんとか引かせる。
休みたい気持ちを抑えて鞄に教材を詰め込んだ。

今日だけ。つらいのは今日だけ。


「あ!Aさんだ」

家を出て駅に向かってしばらく歩いていると、前から小さな探偵さんが。
今は誰にも会いたくなかったのに。

「コナン君、こんにちは」
「こんにちはー!今からお出かけ?」
「今から学校なんだ〜」
「お昼からなんだね」
「んーと、遅刻ですねぇ」

私がははっと力なく笑うとそれにつられるように彼は苦笑い。
そんな目で見ないでおくれ、これには事情があったんだよ、言わないけど。

「そういうわけだから急ぐね」
「ばいばーい」

あれ?今日って平日だよね?
どうしてコナン君は学校がないのかな。

まいっか、もう関わる事もないし。

やっぱりその方が私には合ってる。
今までだって平穏な日常を送ってきたのだから、これからもそうでありたい。

カードを当てて改札を通って時計を見るともう十一時を過ぎていた。
おかしいなぁ、いつもは一時間もかからないのに。
のんびり歩きすぎてしまったのだろうか。

ホームは平日のはずがいつもより人が多かった。
怒られるかな、怒られるだろうな。
でも良いの。もう誰も文句を言う人は居ないんだから。



「…列車が到着します。…」


あぁ、もう電車が来るのか。
長かったような短かったような。

今行きますよ、っと。
私が勝手に作りみんなを勝手に入れさせたグループチャットに連絡を入れる。

待っててね。

「痛いよ」
「……へ?」

既に聞き慣れつつある声がした。
発信源へ顔を向けるとそこには先ほど別れたはずのコナン君が。

どうしてここに居るのかな、学校は?
聞きたかったけど声が出ない。

そうしてる内に電車が停まった。

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作者名:りん | 作成日時:2018年3月22日 22時

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