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あのね、私知らない。
一人で来たレストランに先日出逢った彼が入店してきたなんて知らない。

幸いな事にまだ向こうは私に気づいてないようなので、このまま早くこの目の前にあるご飯を食べて帰ろう。
早くこの場から離れなきゃ。
彼は事件をお取り寄せするのだから。

「あっ、Aお姉さん!」

はい気づかれた。
急いで食べようとした気持ち返して。私の頑張りを返して。

「コナン君だ〜どうしたの〜」

精一杯の笑顔を試みるも、どうしても引き攣ってしまうのはこの際だから仕方がないと思うの。

コナン君は私の了承を得ずに向かい側に座り、頼んでもないのにここに来た経緯を教えてくれた。
なるほどね。彼のおじさんの友人の結婚前夜なんだね。それはおめでたいね。
ところで私は帰っていいかな。

まだ食べ終わってもいないけれど気持ちは既に此処には在らず。
早く帰りたい。


向かい側には何故かこちらを見つめるコナン君。

その目は何なのだ…何を見ているのだ…。
視線に気づいてないふりをして私はご飯を口に運んだ。
美味しいのに全く味わえない悲しい。

「Aお姉さんはどうしてここに?」
「うん…この前ここを見つけてね…美味しそうだったから…」

何でだろう、この事情聴取されてる感は。
相手が子供っぽくないからだろうか。

ん、子供っぽくない?
うん。全然子供っぽくない。

爆弾には動じないわ事件は吸い寄せるわ解決するわで子供らしい所は今のところ話し方くらいしかない。

…止めよう止めよう。
下手に詮索すると自らの命が危ない。

私は平穏に暮らしたいのだ。

「へぇ〜。その時じゃなくて今日にしたのはどうして?」
「えっと、その日は他に用事があってね…」
「用事?」
「アルバイトだよ。飲食店で働いてるから結構忙しくてね」

始めてからもう数ヶ月と経っているが、未だに慣れないのです。

確かに、だいぶ打ち解けてはきた。
でもバイト先の人ともあまり話せず一人ぼっちでちょこんと突っ立ってる事が多いのです。

しかしこればっかりは性分だからね。

私の発言に興味を持ってしまったのか彼の目が輝いた。

しまった、失言した?
一体何にそんな目をきらきらさせてるの?

「どこで働いてるの?」

それか、何かと思ったよ。
でも正直なところ言いたくない。
だっていきなり来そうなんだもん。

ついでに事件まで持ち運んできそうなんだもん。

「えっと…秘密かな…」

この発言が自分の首を絞める事になるだなんて、お姉さん思ってなかった。

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作者名:りん | 作成日時:2018年3月22日 22時

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