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非常に嫌な体験をしてから数日が経ちまして、せめて謝罪をしに行こうと毛利探偵事務所の扉を叩いた。
本当はこのまま放っておけば関わり減るかなぁなんて思ったのだけれど、持ってしまったほんの少しの良心が痛んだのだ。

私もまだ人の子だったみたい。

「はぁ〜い……」

こんな僅かな音でさえ聞き逃さない君の耳はもはやおかしい段階まで進んでるんじゃないか。
今回は聞き取ってもらえて良かったんだけど。

しかし彼を目の前にしてそんな事言えるわけもないから静かにお口にチャックした。

「…なぁに」
「そんな顔しないでよ。この前の事を謝りに来たの」
「何かあったっけ」
「うわぁ、根に持たれてるなぁ」

想像してた以上に私の事が許せないみたい。
そりゃそうか、あんな追い返し方したわけだし。

でも言いたかない事もあるんだぞ坊や。

「Aさんじゃないですか、どうされました?」
「蘭ちゃんこんにちは。前にコナン君が家を訪ねてくれたんだけどおもてなし(・・・・・)できなくてね、それの謝罪に来たの」

当人は不満たれたれみたいだけど、と続けて言うと彼はもっと顔をしかめた。
あら、怒っちゃった?

「べつに不満そうじゃないし」
「どの顔が言うの。…ごめんね、本当に」
「…今はそれで良いよ。今度話してくれるなら」
「…うん。分かった」

ほっぺをつんつんしたら顔を赤くしてそっぽ向いちゃった。
子供らしくてとっても可愛い。

話す約束をしてしまいましたが、果たしてそれを守る時が来るのかしら。

(悪いけど、今の所は話すつもりなんて更々ないよ)


「おっ Aちゃん」
「お邪魔してます」

事務所の扉が開き毛利さんが入ってきた。
上から降りてきたのか、下から登ってきたのか。

ここに来た経緯をもう一度説明することになり、同じ事を伝えると彼はコナン君の頭をぽかりと殴った。
ぐーでやるとは…。

「いってぇっ!」

うん。そうだよね、痛かったよね、なんかごめんね。
もう少し濁せばよかったかな。

彼の頭にはそれはそれは大きなたんこぶが。
デフォルメじゃないからこその驚きに感心さえあった。

見てるだけのこっちもなんだか痛い気がする。


たんこぶの腫れが引いた頃、私達は何故か楽しくお話をしていた。
本当に何故?
当初の私はこんなに居座る予定なかったのです。

歓迎してくれてるのはとても有り難いし嬉しいんだけどのね。


そんな時、またもや扉が開いた。
わりと勢いよく。

「事件や!工藤ォ!」

誰ですか?

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作者名:りん | 作成日時:2018年3月22日 22時

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