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「ま、こうなるよね」

あの事件の翌週、つまりベルツリー急行の乗車日。
目の前にはちっちゃい名探偵がこちらを凝視してるではありませんか。

「何で言ってくれなかったの?」
「言う必要ないかなって」
「だから何で?」

さっきからずっとこんな調子なの。
不貞腐れてるどころじゃないんだもん、これ絶対怒ってるよね。

当方としては何故怒られているのか全く見当もつかないしもちろん心当たりもない。


「ねえ」
「あ、哀ちゃん!こんにちは」

振り返ればそこにな可愛い子ちゃんが居るではありませんか。

初めこそ私を警戒してた彼女だったけど、どうやらあの後の旅館でお話ししている内に少しは打ち解けてくれたみたい。

とっても嬉しいな。

「貴女も推理ショーに興味があるの?」
「え? あぁ、たしかに面白そうだけど今日は別件でね」
「…そう」

彼女はそれだけ告げると去って行ってしまった。
もう少しお話ししたかった。

「別件って?」

お願いだから哀ちゃん帰ってきて。
そしてこの子を連れてって。

詮索ばっかりする子の隣は心休まらないんだなぁこれが。
探偵の(さが)なんでしょうけど。

「気にしなくていーの。君の(ちから)を借りるまでないよ」
「え?」
「みんなが心配しちゃうから、行っといで」

よしよしと頭を撫でてあげると、彼は顔を赤くした。
照れているようだ。

初めましての日もこんな事したっけ。

今や既に懐かしいと感じるけれど実際はそんなに経ってない。
きっといろいろありすぎて疲れちゃってるんだ。

さてと…。

「おじさーん!蘭姉ちゃーん!Aお姉さん居たー!」
「ほっ!?」

準備万端!ってところでそういう事する?しちゃう?
あなたの性格どうなってるの!

「あ!Aさん!きてたんですね」
「誰?この人」
「冬村Aさんっていって、今年で十九歳になるお姉さんよ」
「へぇ〜 見えない…」

どストレート!何の包みもなく投げられたんですけど!

「うん…そうだよね…」

だって私は十九だもん。二歳しか変わらないもん。
そう思うのが当然だよね、うん。

そうだよ、たったの二歳差なんだもん。
変わらなくて当たり前だよ。

「ちょっと園子!失礼でしょ!」
「良いんだよ…」

逆に悲しくなっちゃうからそっとしておいてほしいかも…。
思わぬ攻撃にダメージが大きい。

もうこれから年齢不詳にしとこうかな。
まあ「分からないんですぅ〜」で済まされるほどこの国は甘くないんだけど。

泣きそう。

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作者名:りん | 作成日時:2018年3月22日 22時

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