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ここで耳を押さえてる可哀想な女の子が居るの。
さっきからずっと帰りたいなぁって思ってる女の子が居るの。
そんな時に蘭ちゃんが「声が途切れてて聞き取りづらい」なんて言うではありませんか。
嫌な予感しかしない。
思った通り安室さんがいきなり電話を切っちゃって、盗聴器の捜索が始まった。
その前に下着を片付ける為に部屋を出た樫塚さんだったけど十分経っても戻って来ず、勝手に始めちゃう事に。
ここで疑問なのが、どうしてみんなコナン君も居ないって気がついてないのか。
あの子そんなに影薄い？
私的には存在感ありすぎて困るんだけど。
私もやらなきゃだめなのかな。
ここに居ると気分悪くなるから本当に帰りたい。
言っても良いんだけど、多分この人も気づいてるだろう。
それに問い詰められたら言い逃れできる自信ない。
という事はまた大人しく従わなきゃいけないのか。
「はぁ…」
私の幸せばいばーい。
臭いの発信源に辿り着くまでに四個も見つかった。
こんなに仕掛けられて気がつかなかったのにも驚きだよ。
電話とかしなかったのかな。
そしてとうとうこの部屋に来てしまった。
この臭いを嗅ぎすぎて頭は痛いし気持ち悪いけど我慢だ。
大丈夫だから、落ち着いて…落ち着くの…。
「盗聴器はベッドの下のようです！」
「でっけースーツケースが押し込まれてるな…」
その言葉に小さく「えっ…」と漏らす。
毛利さんがそれを引っ張り出して開けた。
直後に響いた蘭ちゃんの悲鳴が私の鼓膜を振動させる。
中には頭から血を流した人が居たのだ。
スーツ…ケース…
「どうしました？Aさん」
中に…
「Aさん？」
この、臭い…
「あ…、ごめんなさい」
いきなり肩を触られて驚いてしまった私は咄嗟に安室さんの手を
直ちに謝ると彼は困った顔をして「こちらこそすみません」と言った。
私が悪いのに、謝らせちゃった。
「その、びっくりしただけなんです」
「分かってますよ。驚かせてしまって申し訳ない」
「あ…違くて…」
謝らせたいわけじゃないのに謝らせてしまう。
こちらが申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
少しだけぎこちない雰囲気になってしまったけれど、そんな時に毛利さんの携帯のバイブ音が鳴った。
樫塚さんからだそう。
不謹慎ではあるけどさっきの空気を変えてくれて良かった。
でもその内容は実に宜しくなかった。
コナン君が樫塚さんに誘拐されてしまったらしいのだ。
…え、何だって？
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作者名：りん | 作成日時：2018年3月22日 22時
