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樹「…そんなこんなで体育祭の前日になったね」
「どんなこんなだよ、意味わからん」
樹「あっという間すぎね?俺彼女と過ごしてたらあっという間だったわ」
「彼女いないのに?」
まぁ田中の言う通り、そんなこんなで体育祭も前日になってしまった。放課後、係の人たちはグラウンドの倉庫からいろいろ取り出して準備をしなければならないので、ボケたがりな田中にツッコミを入れながら物を運ぶ。
体育祭には後夜祭というのもあって、ほぼ文化祭のようにみんなわちゃわちゃしている。それがすっごい楽しくて今からでもワクワクしているのだけれども、今年は実行委員になってしまったから後片付けが大量にある。…めんどくさい。
薄暗い倉庫に足を踏み入れ、バトンを手に入れる。明日はこのバトンでアンカーを走るのか、悔いのないように頑張らないと。なんてヒロインみ溢れたことを思って1人で笑ってしまう。
ジ「麻里ちゃーん、そっちだいじょ…」
「…ん?」
声のした方に首だけ振り向いてみると、倉庫のドアに手をやって寄りかかっているデカい影。外が明るいからか、よく顔は見えないがその声と体で直ぐに分かる。
…残念だ、ジェシー。私は麻里ちゃんじゃないんだな。
ジ「…あぁっ、ごめん。麻里ちゃんかと思って」
「大、丈夫。このポニーテールとか似てるもんね笑」
きごちないような、愛想笑いのような笑顔を見せるジェシー。多分、私もおんなじような顔してたと思う。
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作者名:Y | 作成日時:2023年5月6日 20時