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「…へ、体育祭、実行委員…?」
樹「一緒にやって!お願い!」
慎太郎に好きな飲み物を買ってもらって少し上機嫌で教室に戻ると、ものすごいスピードでこちらにやってくる田中。何かと思えば、パンっと両手を鳴らしてお願いポーズをかましてくる。
話によると、まだ体育祭実行委員が決まってないのは私のクラスだけだったらしい。教師しっかりしろ、とは突っ込みたくもなるが、そういう忘れっぽい教師のため目を瞑る。
その教師が、リレーに出る人たちの中から男女1人ずつ推薦で勝手に決められた。それが、私と田中の2人だったらしい。
「だって実行委員って放課後忙しいじゃん…前日準備とかもあるし、当日は早く来なきゃだし…」
樹「センセー!Aやってくれるって!」
いや、おい、まて。そんなこと一言も言ってないだろ。
…と、そんな焦りは先生に届くはずもなく、「そうかそうか!助かるー!」といかにも安心したかのような声が聞こえてくる。
「…田中、一生恨む」
樹「こっわ!まぁまぁそう睨まずに、ジェシーもいるらしいからよかったじゃん!」
語尾にハートでもつきそうな勢いでそう言う田中。体育祭が近づいてから、ジェシーとの縁も色々あるのは気のせいだろうか。
そんなこんなで、強制的に参加させられた体育祭実行委員というものは案外楽しいもので。仲良い女の子も居たし、なんとなく居場所はありそうだった。
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作者名:Y | 作成日時:2023年5月6日 20時