Curtain call. 〈Hokuto.M〉 (ページ10)

今日:20 hit、昨日:17 hit、合計:86,522 hit

. ページ10

Aside

北斗があたたかい飲み物を買ってくれた。昔から変わらない優しさだ。

貸してもらった手袋をつけたまま、甘くて暖かいコーヒーを飲む。私の手よりはるかに大きい北斗の手袋だから、ちょっとゆるめ。でも、それで良かった。久しぶりに彼の温もりを感じることができたから。

『んっと…本題だけど』
「ごめん」
『…え？』
「あんな別れ方して。逃げてるみたいになっちゃって」

本題、と言ったものの何を話せば良いのか考えていた時、北斗が口を開いた。

そんなことない、っていうと、北斗が続ける。

「Aにはずっと、俺のことは忘れて幸せになってもらいたい、って思ってた。」
『……』
「でもね、俺はAが好きって、あの時…転校する時に気づいた。
転校したら、遠距離恋愛？っていうのかな、Aは俺のことが好きじゃなくても、自分の中でそう思ってた。笑」
『そう…だよ』

喉の奥から必死に声を出す。自分が何を言ったのかもわからないような混乱で、すこし声が震える。
今、北斗に恋をしているかもわからない。でも、これだけは伝えておきたい。

『私も、あの時…北斗が好きだった。』
「……え、」
『あれ…？なんで私泣いて、』

北斗との再会が嬉しい、また話せて嬉しい。そういうこともあるけど、それ以上の理由があった気がした。