Curtain call. 〈Hokuto.M〉 (ページ34)

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…と、そう思ってから2週間が経とうとしている。もう世間はクリスマスに向かって準備を進めている。

Aは今ごろ、どうやって過ごしてるかな。彼氏とかできちゃったりしてる？きっとAの彼氏は、背が高くて、俺よりもはるかに優しくて、…って、何考えてんだ。

Aに関するなにかを考えようとすると、
胸の奥が雨の日の雲みたいにモヤモヤする。

高「…で？相談したいことって？」
『…うん、あのさ＿＿』

仕事が休みの日、高地を家に招いて、相談にのってもらうことにした。

高地は優しいし、口も堅い。なんなら堅すぎるくらいのレベルだから、安心して相談できる。保険みたいな。
だから話せる範囲まで全部話した。Aの名前は出してないけど。

高校の時は「北斗話長い」って何度も言われたことあるなぁって話しながら思った。懐かしい。あの頃もAのこと好きだったな。

高「＿ふーん…そういうことね」
『うん。なんかもう、俺がどうしたいのかもわかんない。
百合花は相変わらずだし、Aとはあれから一回も会ってないし。なんも進展ない。
家まあまあ近いし、すれ違うくらいはあるんじゃない？って思うじゃん？いや、ないんだよね。びっくりするくらい。』
高「ほぉ、Aちゃん、っていうんだね」
『……あっ』
高「え。なんかごめん…」

ずっと黙って話を聞いてくれた高地。でも、ここにきて口が滑って名前を出してしまった。

高「その…名前言っちゃうけど、Aちゃんって子は、北斗と両思いなの？」
『………』
高「？北斗？…おーい」

“両思いなの？”

そうだったら良かった。Aは俺なんかに恋をしていたのだろうか。

その少ない可能性を信じて、言葉を発そうとすると高地が一足先にこう言う。

高「今さ、北斗ネガティブな思考してたでしょ？」
『えっ？』
高「違う？俺なんか、とかさ。いま思ってなかった？」

大正解。高地はすごい。そんなこともわかっちゃうんだね。