雄英高校の鎖切くん。 (ページ6)

今日:6 hit、昨日:16 hit、合計:4,083 hit

６.悪魔の賭博ページ6

【んじゃ、３２１の"１"で腕返すで？】

『うん……』

　大丈夫。今まで痛みに耐えてきた。これだって、きっと……

【じゃー、さーん、にーい、いーち、ほい】

『うっ……あ"あぁぁあ"あぁ"っ……ぁぁあ"ぁぁ"あぁあ"っ』

【おぉ……思ったより痛みには強いみたいやな。さすが、"3割の痛み"に耐えてきただけある……よし坊主、おしまいや。よう頑張った】

『はぁっ……はぁっ……じゃあ、僕の、、勝ちだね……？』

【何を言うてんねん。俺の勝ちに決まっとるやろ】

『そんなッ！耐えられたら僕の勝ちのはずだ……』

【うぅん……なぁ坊主……"耐える"って、なんや？】

　えっ……？

【勝負の前に、俺は"耐える"の基準を言わへんかった。そんでお前はその条件を呑んだ。俺の基準なら、今のお前は、"耐えられてなかった"】

　そんな……そんなこと……

【卑怯、か？】

『そ、そうだっ！そんなの卑怯だっ！』

　僕の中のもう1人は黙りこくった。このままじゃ身体を貸さなきゃいけない……なんとかしなきゃ。

【……ええか、坊主。ひとつ覚えとけ】

『な、なにさ』

　これまでの茶化した声よりも低い声に思わず怯む。

【お前の中に棲んでるのは…………悪魔だ。宿主は……一生逃げ出すことはできない】

　悪魔。ファンタジーで散々擦られてきたそのチープな名が、僕を恐怖のヘドロの中へと沈めてゆく。

【てなわけで、これから一生よろしくな！坊主】

　一転して明るい口調になった"悪魔"だったが、恐怖に沈んだ僕は身動きを取れないままだった。