泣けるほどに愛しくて。

４１* ページ42

なんで…？


なんで真弓が？


真弓がよろめいて倒れた結弦の前に仁王立ちをする。


「ねぇ、羽生くん」


真弓は無機物でも見るかのような瞳で、結弦を見下ろす。


「なんでAが泣いてるの？」






「え？」








私…泣いてるの？







「答えて。羽生くん。まさか無理矢理キスしたとか言うんじゃないでしょうね」







真弓は結弦を睨みつける。





「ま…真弓！違う！違うのーーー」


「その通りだよ」







え？








結弦？







「僕は





Aちゃんを手に入れたい一心で






自分の欲望のままに走って






Aちゃんを狂わせたくて






最終的にAちゃんを泣かせた







最低な男だ」








「結弦……？」








「失望した。羽生くんには」


真弓が振り返って私の手首を掴んで屋上の出口へと歩き出す。


「ちょ、真弓！」


「もうたえられない」


「は！？何言ってんのよ！離してーーーー」


「これ以上！！！！！！」


真弓の叫び声が通ることはよく分かってる。


彼女の声は屋上全体に響いた。








「これ以上…羽生くんのことで悩まされるAを…見ていられない」




.







ねぇ…真弓まで。





.





何で泣いているの？


「っ……」






いやだよ






壊れるのは






こんな日が来るなんて







思ってもいなかった







真弓は







誰よりも私のことを心配してくれて






私の恋を応援してくれてた







なのに







「羽生くん……





.






今後一切






.






もうAには関わらないで」

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