泣けるほどに愛しくて。 (ページ16)

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椎崎コーチからまたまた衝撃のお知らせが。

「今年の合宿の期間は1ヶ月だ」

1ヶ月！？

毎年ほんの1週間の強化合宿がですよ！？

今年はなんとなんと1ヶ月！！

「1ヶ月って…前代未聞の展開だね」

真弓がいたずらっぽい笑顔を浮かべる。

「だねーー！超楽しみすぎて夜もう寝れないかも」

もう、楽しみで楽しみでしょうがない。

「子供じゃないんだから」

「ふっ、精神年齢はまだまだ子供ですよ」

この合宿で…沢山レベルアップしなくちゃ。

「こんにちは」

すると突然その場に羽生くんが現れた。いつも通りの笑みを浮かべて。

当然、女子は騒ぎ出す。

「こんにちは羽生選手！」

皆が突然声も高くなって、作り笑いを浮かべている。

羽生くんここ1週間毎日来てくれてる。

結構、皆彼とは話すようになった。

私は…あまりに遠すぎる存在のような気がして話せてないけど。

「お、結弦。悪りぃな毎日来てもらっちまって」

椎崎コーチが申し訳なさそうに言うと、羽生くんは微笑んで、

「いえいえ。僕が来たいから来ているだけです」

と丁寧に切り返した。

「ほんとにいつもありがとうございます！とても勉強になってます！」

そう言うと、彼に向かって深々とお辞儀をする真弓。

「真弓ちゃんは礼儀正しいね」

羽生くんは笑顔のまま面を下げた真弓の頭を撫でた。

「えへへ…」

面を上げた真弓の顔は少し赤くなっていて…。

……真弓ってやっぱ凄く可愛い女の子だなって実感しちゃった。

いつもふざけあっててライバルっていう仲だけど……この子は普通の人から見たら凄く可愛い女の子だ。

「……っ」

あ、また心臓病。

羽生くんがいると……

私、発作起こしそうになるんだよ。

しかも…何？今の。

羽生くんったら、そんなに真弓に優しくしちゃって。

「…っ…いたっ…」

あーもうなんで。

こんなに胸が痛いの？

『真弓ちゃんは本当に礼儀正しいよね』

頭の中で、その言葉が響き続けるーーー。