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数日間の職業体験が始まっていた。
書いた通り工場――日の出製作所へ決められた私は、現場の人に教えて貰いながら機械をいじっていた。
普段やらない事だからわくわくする。
楽しいけれど、ちょっとだけ後悔していることがあった。
「Aちゃん、コツ掴むの早いね〜」
上手い上手いと何故か若干近めな距離で褒めてくる、たぶん40代くらいのおじさん。
吉田さんというらしい。
父の事があってから、あまり近い距離でこのくらいの年代の人と話すのは苦手だった。
今でも鮮明に覚えている。あの感触も声も。
もう3年が経って徐々に同年代の子とは話せるようになったし、何となく割り切れる部分も出てきたけれど、やっぱり父と同年代の人とは深く関わりたくない。
ていうか、何で私だけ一人なんだよ。
小松達と一緒に作業をしていたのに、なぜか君上手いね、と連れ出されてしまった。
ボール盤だろうか。
穴あけ作業を教えてくれるらしい。
やりながら教えるねと、ハンドルを握る私の手の上に手を重ねられる。
気持ち悪くて思わず後ずされば吉田さんの体に背中が触れてしまって。
あの日私を陵辱した父ほど力強いものではなかったけど、触れる他人の体温が、ものすごく気持ち悪い。
ヒュッと喉が鳴って息の仕方を忘れたみたいだった。
ちょっとじゃない。
めちゃくちゃ後悔している。ここを選んだこと。
ハンドルを回すために手に力が入って、ますます近づいた距離に本当に息ができなくなった。
息って、どうやって吸うんだっけ、どうしたら吐き出せるんだっけ。
まるで私の周りだけ時間が止まったみたいだ。
冷や汗が止まらない。
酸素が回らなくて、頭が真っ白になりかけたとき、
「…何してるんですか」
聞こえた声に、吉田さんの動作が止まる。
「セクハラって、知ってますか？」
息苦しさに滲んだ視界に映った彼が、明智が、怒気を孕んでいるように見えた。
「は？セクハラ？教えてるだけだけど」
何言ってんだとでも言うように私から少し距離を取る吉田さん。
触られていた手が気持ち悪くて、震えているのを隠すように握りしめた。
「…冗談です。ちょっとこの子、具合悪いみたいなんで外の空気吸わせてきますね」
そう言って、握りしめた手をそっと解いてその場から連れ出してくれた明智を見てやっと、上手に息が吸えた気がした。
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なー(プロフ) - 莉桜さん» ありがとうございます！ラストの構成はドラマの７話終了後からずっと決めていますのでもうしばらくお付き合いください(><) (2019年10月16日 22時) (
レス) id: 346cc34a59 (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 紗里さん» ありがとうございます！コメントしてくださる事が励みです(ToT)すみません、もう少し完結までかかりますがお付き合いください！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: 346cc34a59 (このIDを非表示/違反報告)
莉桜 - とても読み応えのある作品だと思います！更新、お忙しいとは思いますがぜひラストまで読みたいです！！楽しみにしてます！ (2019年10月8日 8時) (レス) id: 73bed802f4 (このIDを非表示/違反報告)
紗里 - すごく素敵なお話ですね!最後まで読んでみたいです。更新大変だと思いますが楽しみにしています！ (2019年9月28日 20時) (レス) id: 1dbc53bd3a (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 璃々さん» あまりに更新しなかったので完結判定されちゃいましたかね(⌒-⌒; )ここで終わらそうという構想はあるので仕事でなかなか更新がままならないのですが頑張ります…！ (2019年8月23日 15時) (レス) id: ec49a5da0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なー | 作成日時：2019年6月20日 19時
