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あの春の夜から暫く経ち、中学生2年生の時、少しだけ、順位が下がった時だった。
隠していた成績表を目敏く見つけていたらしい。仕事から帰ってくるなりリビングでテレビを見ていた私に、ちょっと立ちなさいと腕を引っ張る。
｢A、点数も下がってるし順位も下がってる。どういうつもり？｣
｢……｣
｢部活、いつまで続ける気？｣
｢来年、引退だけど…｣
｢ふざけたこと言わないで。貴方とお父さんのせいでただでさえ好奇な目で見られるのに、娘の出来も悪いなんてほんっとにこれ以上恥晒さないで！｣
｢は…？｣
今は少し肌寒くなった秋だけれど、少し前、蒸し暑かった夏、両親は離婚した。
はっきりと伝えなくても父親の影を見なくなった近所では自然と察する人も出てくる。
まだ中学生なのに可哀想よねえ、なんて話しているご近所さんに遭遇して、慌てていい天気よねなんて笑って誤魔化されたこともある。
成績が下がったのは、離婚が原因ではないけれど、かといって部活のせいでもない。これは確信を持って言えるものだった。
この1年間、夜は寝れない日が多かった。そんな日の翌日は泣いて泣いて何も出来ない日も多かった。もうだいぶ、慣れてしまったけれど、やはり勉強は頭に入っていなかったらしい。
｢恥とか、知らないし｣
母親のために学校に通ってるんじゃない。
母親の名誉のために私は生きてるんじゃない。
呆れてぼそっと呟けば聞こえたらしい。
母の顔が怒りに染まるのが分かって、咄嗟に顔の前で腕をクロスする。
机の上のコップやら資料やらが容赦なく飛んできた。
｢いい加減にしなさいよ！｣
思いっきり突き飛ばされて尻餅をつく。
床についた手の平に、さっき落ちたコップの破片が刺さるのを感じた。
じわりと血が滲む感覚がして、地味な痛さに涙が溢れそうになった時だった。
｢そうやって泣いて、秀一くんに助けて貰ってるのね｣
目の前の母親は、はっと嘲るように笑って続ける。
｢その辞めたくない部活の人達にもそうなの？｣
聞いちゃいけない。最低だ。
聞かなくても分かる、この人の言うことは、きっと……
｢全く、父親だけじゃなくて沢山の男にも色目使わないと生きていけないのね｣
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ハル - すごく大好きです！更新も無理せずにゆっくりでいいので、楽しみにしてます！ (2019年6月16日 0時) (
レス) id: aceffff8a7 (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 鶴さん» ありがとうございます!更新は遅いですけど読んでいただけると嬉しいです(^o^) (2019年6月12日 13時) (レス) id: 3cdd23f11d (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - すごくはまってしまいました！ 続きも楽しみにしています！ (2019年6月4日 22時) (レス) id: c081e3d2cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なー | 作成日時：2019年6月2日 21時
