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ガチャリ
扉の開く音がして勢いで振り返った。
「…お、かえり」
俯いた父が立っていた。
電気を点けていないから、入口に立っている父にまでは月明かりは届かない。
何も答えてくれない父を変に思いつつ、話し込んでも嫌だしなとパーカーを抱いて部屋を出ようとした時だった。
「似てきたな、母さんに」
低い声が耳元で聞こえた。
隣をすり抜けようとした体は腕を掴まれベッドへと投げ飛ばされた。
「なに…っ、」
「お前も、あいつみたいに馬鹿にしてるんだろ」
「っ…いたっ…い、」
起こした上半身は髪を引っ張られまたベッドへと押し付けられる。
傍へ落ちたパーカーを握っていれば、そのパーカーも取り上げられてどこかへと投げ捨てられた。
「男に媚びれば、いいもんなお前らは」
「なに、何言ってるの…？」
「無条件で、助けてくれるとでも思ってんのか」
光の無い父の目が怖かった。
誰の事を言っているのかなんて分かる由もなかった。
「遅くまで男の家にいて、遊んで、いいなあお前らは」
見下ろして話していた父が動きだして、制服が捲り上げられる。
驚いてその腕を止めれば、バチンッと頬に衝撃が走った。
何をされたのか、一瞬理解できなくて、その間に制服は乱され下着は取り払われ、服の中に入ってくる手に我に返る。
だけど、叩かれた頬を思い出して体は震えるばかりで動いてくれない。
｢っや、だ…ねえ、お父さ……っ、｣
かろうじて震える声を絞りだしても、黙ってろと言わんばかりに口を塞がれ声が出せなくなった。
成長したもんだなと呟いた父に、初めて、女に生まれなければよかったと思った。
何もかもが痛くて熱くて吐き気がする。
気持ちよさそうにする父を見て涙が溢れた。
こんなの何も気持ち良くない。涙でぐしゃぐしゃになった顔を覆って、少し前にした約束を思い出した。
ゲーム、するはずだったのにな。
もう、寝たと思ってるかな。
会いたくて会いたくて、…でも、会いたくない。
果てた父が寝転がったのを見て、痛い体を無理矢理起こして急いで部屋を出る。落ちていたパーカーも忘れずに拾って、お風呂場へと駆け込んだ。
制服が濡れるのなんて構わずに一杯一杯蛇口を捻ってお湯を出す。
まだ水だったけどそんなのどうでもよかった。
体を這う舌の感覚もまとわりつく吐息も下半身の気持ち悪さもこの涙も、ただすべてを洗い流してほしいと思った。
何もなくなるくらい、すべてを。
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ハル - すごく大好きです！更新も無理せずにゆっくりでいいので、楽しみにしてます！ (2019年6月16日 0時) (
レス) id: aceffff8a7 (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 鶴さん» ありがとうございます!更新は遅いですけど読んでいただけると嬉しいです(^o^) (2019年6月12日 13時) (レス) id: 3cdd23f11d (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - すごくはまってしまいました！ 続きも楽しみにしています！ (2019年6月4日 22時) (レス) id: c081e3d2cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なー | 作成日時：2019年6月2日 21時
