パパはカッコいいと思われたい【安室透/降谷零】

◆(毎日は更新できないかも🙇‍♀️) ページ19

それは一瞬の内の油断だった





降「チュロスを一つお願いします」

店「250円になります」



すれ違った女子高生達が持っていたチュロスの甘い香りにAは惹かれ、繋いでいた手を引き"食べたい"と言い出したのはおよそ5分前

買ってやろう、当たり前だ

チュロスを売っているワゴンを見つけ、
その行列に並びながら娘と遊び、
ようやく俺達の番がやって来て、注文の為にほんの少し目を離した隙だった

財布で小銭を探している最中



「パパ...パパ...？」

降「良い子だからもう少し待ってろ」



そう振り返りもせずに答えてしまった



店「では500円お預かりしましたので250円のお返しです」



その小銭を受け取って



店「ではこちらチュロスになります」

降「ありがとうございます。ほら、A」



そこに居るものだと思い、1m程の高さにチュロスを差し出すと



降「っ...A？...A！A！！」



娘が消えていた

文字通り"血の気が引いていく"、そんな音がした

嘘だろ
どこへ行った
どこへ行ける？
だって、今さっきまで...



降「っ、おい！」

店「っ！」

降「小さな女の子、俺と一緒にいた女の子がどこへ行ったか見なかったか！」



既に次の客へチュロスを売っていたところへ割り入って、俺と正面を向き合っていた、つまり俺の背後が見えていたはずの店員に詰め寄った

...がしかし



店「え、わ、分かりません...迷子ならインフォメーションセンターへ行かれると...」

降「っ、お前はどうだ！見なかったのか！？」



チュロスを受け取ろうとしていた客の女もまた首を振るだけ
...スマホしか見ていなかったらしい

もう冷静に物事など考えていられなかった
狂ったように携帯を取り出し、入っていた不在着信を全て無視して風見にかけた



風『風見で

降「検問を張れ！都内全域だ！」

風『け、検問ですか？』

降「早くしろ！」

風『お、落ち着いて下さい！何があったのですか？今どちらに

降「Aが誘拐されたんだ！！」

風『...はい！？誘か



そんな驚きなど聞いてる暇は無い
着信を切り、怒りだか焦りだか不安だか分からない感情で



降「Aー！Aー！！」



非効率的だとも考えずに

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