公安警察、辞めさせて下さい 2【安室透/降谷零】

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とは言っても私は私で電話を取る勇気が必要
わざわざ怒号や罵声を聞きに、この場を抜け出して電話なんか取りたく無いし
後でこのキモ男やその家族から"失礼だ"と言われたくないし

こんな事で両親には迷惑を掛けたくないから


事の始まりはお母さんに"嫌なイケメン上司がいる"って愚痴ったから
そしたらさすが母親、すぐに"失恋まがいなことになったんでしょ"とドンピシャな感想を返され、実は良い縁談があるとすぐに用意されてしまったこれ

私はそういうつもりじゃ無かったんだけどな...
でもこれで公安部は辞められるし、あのサイコパスの事も水に流せるかもしれないって適当な気持ちで帰って来た

はぁ...やっぱり断るべきだったのかな

その横で相変わらず震え続けるスマホ



相「そうだ、プレゼントを持って来たんだよ！」

「え、そんな、良いですよ！」

相「きっと似合うと思ってさ！」



こんな時間があったら実家でゆっくりしたい
せっかく帰って来たのに、帰省っぽい事は何も出来てない

今日も早朝から、数日前に買ってもらった綺麗目ワンピースを着せられて、髪を巻かれて、メイクをされて
いわゆるオシャレを強制的に被せられて

東京に行ってからはメイクすらまともに出来ず毎日黒だかグレーだか紺だかのスーツばっかりだったから、すごく落ち着かない
この格好で登頂したら降谷さんに絶対怒られただろうなとか、意味の分からない事も考え...え？



相「これ、良かったら付けてあげようか？」



そう言ってその手にされたケースは見た事ある赤い箱
...カルテ◯エ

しかもネックレス



相「僕が自分で選んだんだよ！」



さすがにデザインは違うけど、それでも...

"お前に買ったわけじゃない"
蘇るその嫌な声

...あまり高過ぎない物をと慎重に慎重に選んで本当に欲しいと思ったのに
あれは誰にあげたんだろう...
探してるって言ってた初恋の女性？
それとも全然違う人？



相「付けてあげるから髪を

「嫌...」



思い出せば思い出すほどあの時の惨めさも一緒に思い出されて



「もう好かん...あんな男好かん...」



視界に映る着信中の画面を割りたいくらいに



相「ど、どうし

「少しお手洗いに行って来ます！」



泣きそうになる顔を隠しながら、掴んだ携帯を片手に飛び出した個室

何でこうなるかな
まだ私をいじめたいってどれだけサイコパスなの？

ヒールに足を入れて
スマホを耳に当てて



「何ですか！？今忙し...っ、え...？」



料亭の引き戸を引いたら

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