公安警察、辞めさせて下さい【安室透/降谷零】

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風『対象の侵入を確認しました』



そんな声が無線のイヤホンから流れる今
真っ暗な警察庁内のとある廊下の隅
募りに募って収まらない苛立ちがストレスに変わって来ている

"ケーキありがとうございました！美味しかったです！"

としばらく前に受け取ったメッセージは既読無視
どう返信したらいいのかも分からない

最近家にはあまり帰っていないらしい
隣の部屋から物音を聞かない、というだけではなく郵便受けがいっぱいになっていたから
...そもそもそこまで気になってチェックしている自分が気持ち悪い

つい最近ポアロの榎本梓と"ストーカーは怖い"という話をしたというのに
まるで俺がストーカーじゃないか



風『対象NOCリストを閲覧中。取り押さえに入ります』



そろそろあの女を現場に出すべきなのは分かっている
人事に抗議する為にも、事務作業だけでなく現場での行動証拠も必要
だが...どうも癪だ
現場に出すには一人で行かせるわけにはいかない
なら誰と行かせる？
風見が仕事上一番信頼出来るやつだが、その決断には踏み出せない
かと言って他の奴らでも同じ

あの女に同行させられる人間が公安部にいない

そうしているうちに聞こえて来たのはタッタッタという駆けるような足音

...風見らが取り押さえに失敗した証拠



キュ「っ...！」



逃しはしない
と意気込んで動かす体
さすが組織から派遣された人間だけあって動きが鋭い
ここまで手応えのある実践を組んだ最近の相手と言えば...
思い浮かんだのは、本当に気持ちのいい食べっぷりを見せるあの


キュ「っあ！」

風「降谷さん！大丈夫ですか！」

降「ああ...」


クソ...
俺はこんな時に何を考えてるんだ
集中しろ
重大な仕事だぞ
NOCリストを奪われたら日本警察の威信が


キュ「...ハハハ...アハハハ！」

降「...っ、その目...！まさか！」

「降谷さん！左に！！」


...は...？
おい...まさか...


「...ふ、降谷さん！はや

降「どうしてお前が居るんだ！！現場任務は禁止だと言ったはずだぞ！」

「そんな事言ってる場合じゃ、あっ！待って！！」

降「っ！」



鋭い細かな音が背後で響き、流れ込んで来たのはひんやりとした夜風

...もう、こうなったら



「え、うわっ！」

風「あ、降谷さ

降「こいつは俺が連れて行く！お前達はNOCリストの確認をしろ！」

「私は"こいつ"じゃな

降「うるさい！黙って着いて来い！逃げられたらお前のせいにするぞ！」

「ひ、酷いです！！」

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