公安警察、辞めさせて下さい【安室透/降谷零】

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「ちょっと、何そんなにイライラしてるのよ」

「物事上手く行かなければ誰でも苛立つでしょう」

「だから何がって聞いてるんだけど？」


助手席に座るベルモットはこれまた真っ赤なネイルを爪に塗りたくっている
人の車で本当にやめて欲しいが、言ったところで聞くわけもないのがこの女だ
むしろ走行中の車内でよくそんな物を塗れると感嘆する


「...訳の分からない女がいるんです」

「あなたの方が訳分かんないわよ」


何がいけない？
せっかくの休日も費やして食事も用意してやった
忙しい中でも毎日2時間近く特訓に付き合っている

なのに
この期に及んで的を外した上に
"私は無能でしょうか"と


「で？その"訳分かんない女"にイライラしてたから目の前の的外したって言うの？」

「.....」

「感謝しなさい？あんな男一匹逃したなんてジンに知られたらあなた自分の株下げるところだったんだから」

「...分かってますよ」

「ま、女の子ならあなた扱い上手でしょうし、さっさと欲でも吐き出しちゃいなさい」

「っ、僕を何だと

「また次失敗したら私もカバー出来ないから。あんまりそうしてると、その女の子が組織に害だと判断されて消されちゃうかも」

「そんな話は聞いた事ありませんね」

「可能性の話よ。じゃあ、Good night, Bourbon」


そう言って扉が閉じた後も聞こえるカツカツと鳴るヒール音

...やっと1日が終わった
毎日毎日あちこち行ったり来たりとゆっくり風呂に浸かる時間も無い

時刻は0:22

今日こそは沸かすか...
全身疲れて仕方ない
それに浴槽もあまりに使わないと埃が溜まる
...そんな言い訳でも作らないと行動出来ない自分自身もどうかとは思うが

自宅目指して再び走らせ出した夜の街並みは人通りがほぼ無い





・




これから風呂を沸かして、
その間に出来る限りパソコン作業をして、
そうすれば4時間の睡眠は確保出来るだろうかと思考しながら差し込む鍵
ガチャッと開錠される音と気になってしまうのは...


「...クソっ」


まるで好奇心を紛らわすように伸ばした腕でインターホンを押して、何も音が返って来ない事にまた苛立つ

...ダメだ
今日は休息する事に決めたんだ
部下が家に帰っていないなど俺が気にする事じゃない
残業しようがあの女の勝手だ
定時までに終わらないのもあの女の都合だ

部屋に上がり風呂の用意を手早くこなし、ノートパソコンを開いた後
打ち慣れたはずのパスワードを3回連続で間違えた時には、本気で頭痛薬を探した

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