検索窓
今日:39 hit、昨日:194 hit、合計:550,624 hit

103話 ページ6

『……私、護身術でも習おうかな』



小さな声だったが、確かに聞き取ったそれは__




「……え?」




とても、的が外れた答えで。




『いやあ、私も今日痛感したんだよ。零といると危険なこといっぱいあるなって』




うぐ、と口を紡ぐ。




『でも零だって公安やって探偵もやって潜入までして……すごく忙しいでしょう』






『私が弱いから、あなたはそんなに悩んでる』





『だからさ』






彼女は僕の涙を拭うと、ニコリと笑って言った。





『私が強くなれば、もう心配かけなくて済むでしょ?』




ポカン……としばらくあいた口が塞がらなかった。




きっと彼女は、怖がって別れを切りだしてくると。




そう、思っていたんだ。




もしそうなったら、僕も折れようって。




そう思ってた。




けど彼女から返ってきた答えは予想の遥か上を行き。




僕を心底驚かせるには十分すぎた。





「え、や、あの…」




『あっそうだ、蘭ちゃんに空手教えてもらうってのはどうかな!?』




蘭ちゃんめちゃカッコいいし!と話を違う方向へとどんどん進めていくAに戸惑う。




なんで、なんで君はそうなんだ。




「………いいのか、僕のそばにいて」




危険なんだ……そういう仕事、そういう人生だから。




彼女に対しての、最終忠告だった。




そう僕が言えば、彼女はまたいい笑顔を僕に向けた。





『そんな危険、強くなってどうってことなくすればいいじゃん!』

104話→←102話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (596 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1339人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レモン - 読んでて、ハラハラしたり、思わず笑ってしまったり、とにかく楽しいお話でした! おもしろい小説ありがとうございます! これからも頑張ってください! (2019年12月12日 15時) (レス) id: 3deba30f55 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白かったです!! 最後「夢の国」でえぇっー、そこはトロピカルランドでしょ!?と思わずツッコミましたww 降谷さん視点好きですわ、強いて言うなら「僕」じゃなく「俺」が良かったです (2019年3月2日 0時) (レス) id: 397416eb50 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - ナオさん» ありがとうございます。番外編のリクエストまでいただけるとは!考えてみますね! (2018年7月26日 21時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - きのんさん» 結婚後ですか!考えてみます!ご愛読ありがとうございました。 (2018年7月26日 21時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
ナオ(プロフ) - 素敵なお話でした!是非、その後のお話を番外編で読みたいです! (2018年7月26日 20時) (レス) id: be73906264 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リン | 作成日時:2018年6月23日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。