4話 ページ5
答えが分かった二人は、確かめたい気持ちが抑さえきれずうずうずしていた。齢子供だが、もう既に探偵の血が疼くのだろうか。緊張で頬をお互いほんのり赤く染め、頭の中でホームズの台詞を思い浮かべる。
__中間の推理を全て抜き取り、出発点の答えだけを相手にしめせば、安っぽくはあるが、ビックリさせる効果は十分ある__
かのシャーロック・ホームズはそう言った。二人の考えをこの少女に伝えたら、彼女はどんな顔をするだろうか。思わず想像して、二人は嬉しそうに笑った。
しかし、少女の布団の下に隠されたモノを見て、二人はハッとし笑顔を引っ込める。部分的にしか確認することはできないが、それはくしゃくしゃにされた折り紙のバッチだった。
「『!!』」
(違う、この子が取られたのはプラスチックのバッチじゃない!)
新一とAは顔見合わせ、徐に胸元のバッチを取るとポケットの中にしまう。そして少女の前まで行き、彼女の顔を覗き見た。
『私達にも作ってよ』
「それ、さくらだろ」
Aはしゃがみこみ少女の目線に合わせると、可愛く笑って彼女に話しかけた。突然のことに、少女はビクリと肩を震わせゆっくりと視線を上げる。その潤んだ瞳に、Aは少しどぎまぎした。
「え……?」
キョトンした少女を見て、二人は自分の考えが間違っていたのかと焦り少女に問い掛ける。少女から帰って来た答えは肯定だった。
「どうしてわかるの?」
不思議そうな少女がそう聞き返してくると、新一は不機嫌そうに眉を曲げた後、Aと共にそう思った理由を少女に説明した。その折り方を前に見たこと、虐められている場面、少女が泣いている理由……、それらを繋ぎ合わせて導きだした結果だと。
ついでに"泣き虫"という余計な言葉もつけて。
Aは新一の小生意気な態度に思わず顔を手で覆った。もうこれは新一の悪い癖だ。自分と同じ年の子供を全て下に見ている。
二人は説明し終わった後、少女の驚く顔に期待して胸を高鳴らせた。すぐに、二人の話を盗み聞きしていた周り子供たちから歓声があがる。新一は、ホームズすげー!と心の中で叫んだ。
「凄いねキミたち!エスパーみたい!」
『ち、違うよ…そうじゃなくて』
少女の横で寝ていた別の少女が、目をキラキラさせながら新一とAを見る。これは超能力なんかじゃない。ちゃんとした推察だ。そう伝えたいのに、幼い口では何と言っていいのか分からない。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時