トロピカルランドの悲劇…1話 ページ23
「足元にお気をつけくださーい」
前に出発したコースターの乗り物がホームへと帰って来た。この調子だと、次の次くらいには乗れそうだ。三人は進む列を埋めながら話す。
『コースター、二人ずつみたいだけど…どうする?』
「ホントだ」
「私達三人なのに…」
順番がそろそろ回ってくる。Aは新一と蘭を交互に見て、しょーがないとため息を一つついて笑った。
『いいよ。私が一人で乗るから、二人は前に乗りな?』
彼女も本当はどちらかの隣に乗りたかった。だがこればかりは仕方がない。誰かが譲らなければここまで並んだ意味がなくなってしまう。
蘭はAの表情を見ると、少し考えて顔を下げた。そして突然、その場に踞る。
「う、いたたた……っ」
『!蘭、どうしたの?大丈夫?』
「ご、ごめんA…なんだか急にお腹が痛く…」
蘭は腹部を手で押さえると、近くの手すりに寄りかかった。Aがその身体を慌てて支える。蘭は冷や汗をかきつつ、彼女に笑いかけた。
「私、乗れそうにないや。A、新一と乗ってきなよ」
「えっ…」
困ったような表情を浮かべる蘭に、新一は驚いて声をもらした。蘭の行動の意図を瞬時に察したのだ。Aは「そんなことしないよ!蘭を置いていけない、」と首を横にふった。だがしかし、蘭はそんな彼女の身体を押し返す。
「大丈夫よ、たいした痛みじゃないし。ほら、二人とも順番来たわよ。乗った乗った!」
そんなことをしている間にA達の一つ前に出たコースターが戻ってきてしまった。Aは「蘭!」と怒ったような声をあげるが、彼女に強引に背中を押され、コースターに無理矢理乗せられた。Aが慌てて降りようとするが、その前に安全バーが下がり始める
『駄目だよ蘭!ちゃんと医務室に…』
「もう、Aは心配性だなぁ。ホントに大丈夫だから。楽しんできて」
蘭はそう言うと、にっこり笑ってコースターから離れた。それと同時にコースターが動き始める。「いってらっしゃーい」と間延びた係員の声が聞こえて、Aはこちらに手をふる蘭を心配そうに見つめた後、ため息をついて渋々前を向いた。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時