6話 ページ15
『じゃ、また明日!』
「おー、またな」
「ぜーったい忘れないでね!!」
Aは「忘れるわけないじゃん………」と苦笑いを浮かべながら、二人に手を振って帰路へと踵を返した。
===
『ただいまー』
無事帰宅したAは、いつものように帰ってこない返事を気にせず靴を脱いだ。両親は今現在ロサンゼルスで仕事をしておりなかなか日本には帰ってこない。そのため彼女は新一と同様、ほぼ一人暮らしのような生活を送っているのだ。(たまに新一の家に行って一緒に食べたりしているが)
鞄をリビングにあるソファーに放り投げ、洗面所で手洗いうがいを済ませると、制服のポケットから携帯を取りだしある人物へと電話をかけ始めた。帰ったらいの一番にやろうと思っていたことだった。その顔は先程二人と居たときとは違い、笑みが消えていた。数回のコール音のあと、携帯の向こうから馴染みのある声が聞こえる。
"もしもし"
『このバカ泥棒』
電話が繋がるや否やそう罵倒したAに、電話の相手は大層呆れた口調で返した。
"開口一番にひでぇな"
『うるさい。……何あの手紙!あんたいつ帝丹に来てたのよ』
Aが電話を掛けた相手、それは今や世間を騒がす大怪盗__「怪盗キッド」こと、黒羽快斗だった。Aは彼の正体を知る数少ない人物の一人で、探偵でありながらも彼が怪盗をする理由を知っているためか、快斗に対しては一人の友人として関わっていた。だがしかし、それを同じ高校生探偵である新一が知るはずもない。
"何って、俺からの愛のメッセージに決まってんだろ?"
『死ぬほどいらないわ。あんたがキッドの時キザすぎて鳥肌立つんだよね…』
"ひっで!俺はただフツーにお前を応援してだなぁ……!"
ゴニョゴニョと口ごもる快斗に、Aは怒鳴って言い返す。
『応援じゃなくて、からかうの間違いでしょ!ったく、新一がいるんだから、学校まで来るのは止めて……』
"新一ぃ?…あぁ、いつもオメーの横にいるもう一人のたんてーか"
『なに、その嫌味ったらしい言い回し』
妙にAから出た「新一」という言葉に突っかかる快斗が癪に触り、彼女はムッとして眉根をひそめた。だがその表情は、今電話越しにいる彼と共通している。快斗もまたAと同じように不機嫌な表情を浮かべていたのだ。それが何故なのか、Aは勿論、おそらく本人も分かっていないだろう。彼は無自覚なのである。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時