3話 ページ12
Aは一理あるな、と内心思いつつも一応止める態度をとっておいた。本当は彼女も小五郎の仕事と自分達は関係ないと思っているのだ。そんな二人を見て、蘭はニコニコと不思議なくらい良い笑顔をつくる。
新一とAも嫌な予感を察しつつ笑顔を返した。瞬間…___
「あっはっは!」
ドゴッ!!!
凄まじい音と速さと共に、蘭の拳が二人の横にあった電柱に当たった。否、当たった、なんて単純な表現は誤解を生む。
正確には突き刺さった。
『ひぇ……___』
蘭が拳を電柱から退けると、ヒビの入った部分から砕かれたコンクリートがパラパラと地面に落ちた。
新一とAは目の前を通りすぎた腕に冷や汗をかきつつ、信じられないという目で蘭を見る。二人が驚くのも無理ない。空手部主将とはいえ、女子高生が電柱にヒビをいれることなんて容易ではないからだ。蘭じゃなかったら尚更二人は信じられなかったかもしれない。
「だーかーら、怒ってないって言ってるでしょ?」
赤くなった拳を下ろし、蘭は変わらない笑顔で二人に言う。
「Aも新一と同じ事考えてるってバレバレなんだからね?」
『えっ、い、いやぁ…ハハ』
Aは自分の内心がバレていたことに、さらに顔を青くした。オホホホ、と不自然な笑い声をあげ先を歩く蘭を暫く見つめた後、二人は勢い良く顔を見合わせる。
((蘭を怒らせてはいけない…!!))
===
再び帰路を進み始めたAは、ふとニヤニヤと口角を上げたままの新一を横目で見た。新一の手には、彼と同じ帝丹高校の女生徒から貰った沢山のファンレターが握られている。
高校生探偵として有名になって、二人のもとにはこうして時たまファンレターが届くようになったのだ。蘭はそんな新一を見て、Aの前なのに有り得ない!と心の中で悪態をついた。
(……そうだ、)
蘭は新一に仕返しをしようと、二人の間で歩いていたAに話しかける。
「ねぇA、今日の昼休みのことどうするの?」
『え?……あぁ、』
蘭に言われて昼休みの出来事を思い出した#b#は、照れて頬をほんのり赤く染めた。
「昼休みぃ?何かあったのかA」
自分の知らない話題に入って面白く無さそうに声をあげた新一は、顔の赤いAを見てぎょっとした。なんだ、その表情は。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時