5話 ページ6
そこまで話したところで、哀がわざとらしく咳払いをした。ついでに横にいた夏樹がコナンに軽く肘鉄を食らわせる。ようやく話しすぎたことに気付き、コナンは冷や汗を浮かべながら蘭を見上げた。
「って、前にテレビで言ってたんだ!アハハハ…」
「へぇ〜!そうなんだ!」
しかしながらコナンの物知り発言はいつものことなので蘭は特に気にしていないようすで、コナンは安心したように息をついた。
「…バカね」
『ホント』
「悪かったな…」
===
その後一行が岩永に連れてこられたのは、古い民宿だった。玄関に入り、宿主である美馬の名前を呼ぶ岩永の後ろに並んで立ち、各々が残念そうな声をあげる。
「さっきのホテルと随分違うな…」
「ですね…」
『でも野宿よりはずっとマシでしょ』
「それはそうですが…」
特に園子は民宿など慣れていないようで、げんなりした表情を浮かべていた。宿主は家の中にいないようで、岩永が何度呼んでも返事がない。
(あつ…)
炎天下の中立たされ、暑いのがあまり得意ではない夏樹は気だるそうにリュックを背負い直した。何でも良いから早く日陰のあるとこに行かせてくれ…と心の中で考えていると、そんな彼女を見かねたのか横から哀がペットボトルを差し出す。
「はい、お水」
『え…』
「今にも死にそう、って顔してるから」
『ありがと…』
こういう時哀は瞬時に夏樹のちょっとした変化に気づいてくれる。ぶっきらぼうな言い方だが親友の体調を案じている彼女の優しさに胸打たれ、夏樹はお礼を言いながら冷えたペットボトルを受け取った。
水を喉に流すと芯から冷えていくような気分になる。ふぃ〜…と可愛さの欠片もない伸びた声をあげると、コナンが心配げに彼女の顔を覗き込んだ。
「おい夏樹、大丈夫か?」
『ん、へーき』
「相変わらず、夏樹は暑いところに弱いわね」
『寒いところも別に好きじゃないけど、暑いのよりはマシかな…ハハハ…』
哀にペットボトルを返す夏樹の顔色は先程よりかは幾分良い。無意識に彼女に甘い哀とコナンは、ホッと安堵の息をついた。そんな彼らの傍ら、岩永が玄関から戻ってくる。
「すいません…いないようですね、電話しておいたんですけど…」
「何だ、騒々しい」
すると岩永の声がやっと届いたのか、民宿の裏から一人の老人が姿を現した。それはこの民宿『神海荘』の主人、美馬和男だった。岩永は安心した様子で彼に小五郎一行のことを紹介する。
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紅茶 - もう最高すぎです!新一の絡みの作品はとても少ないので、とてもドキドキして愛読させてもらっています!更新を楽しみにしています! (2月22日 13時) (レス) id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら見てます!更新を楽しみにしてます! (8月1日 17時) (レス) id: 9dbed7814d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - コナン君と彼女ちゃんラブラブだね、続きが楽しみです😁 (5月13日 19時) (レス) @page25 id: 0a46edb41a (このIDを非表示/違反報告)
RINO(プロフ) - いつも見てますリクエスト募集してますか?してたら緋色の弾丸お願いしますできればですけど (2023年4月24日 10時) (レス) id: be789abdc0 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - あーむさん» わあ!ありがとうございます…!本日少し更新しましたので楽しんでいただけると幸いです〜 (2023年4月16日 3時) (レス) id: af6ae32b27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2023年4月3日 2時