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33話 ページ34

美馬は鋭い視線を二人に送った後、背中を向けたまま黙り込む。


『だからあの人たち、もう宝の隠し場所に向かってると思うの。………おじさん、どこだか知らない?』

「……どうしてそれを、わしなんかに聞くんだね?」


その直球な言葉は疑問系だったが、美馬が宝を知っていると分かっていて聞いていた。美馬もそれを感じ取ったのか、今度こそしっかりと振り返って二人を見据える。コナンは鋭い瞳で、彼を見つめ返した。


「もしかしておじさん……トレジャーハンターだったんじゃない?」


暫く口を閉ざした美馬は眉をひそめると、そっと瞼を下ろした。そして薪を割っていた斧を切り株に突き立てると、徐に立ち上がる。


「…仮にわしが昔トレジャーハンターだったとしても、宝のありかを知っているとは限らないのじゃないかね?」

『昨日おじさん言ってたじゃない』


夏樹は昨晩、博士と晩酌をしていた美馬の言葉を思い出していた。


『「狙い通りの獲物とは限らない」ってことは、隠されているものが何か知ってるってことだよね?』


二人の小さな探偵の様子に、美馬はじっと黙り込むと、神海荘に向かって歩き出した。「来なさい」と落ち着いた声で呟いた彼の後ろを、コナンと夏樹はついていった。


===

美馬は二人を連れて廊下を進み、神海荘の一番奥にある部屋の襖を開けて中に入った。途中で、朝のうちにスタンプを全て集め終え謎解きをしていた子供たちが再び美馬にヒントを聞こうと思ったようで、彼らも合流して子供たち皆で部屋に足を踏み入れる。

部屋の中には木製の大きな本棚やタンスが所狭しと置かれており、そこには地球儀や海賊船の模型、さらにはアン・ボニーとメアリ・リードに関する書籍がズラリ並べられていた。壁には神海島の地図やかつてトレジャーハンターだった頃の写真が飾られ、コナンと夏樹は関心した様子で部屋を見回す。

美馬は壁側に置いていた文机を大雑把に動かし中央に移動させる。上に置かれていたスタンドライトがその衝撃で落ち、コナンは慌ててそれを拾った。子供たちは美馬の向かいに腰を降ろすと、驚いた様子で彼を見上げる。


「おじさん、トレジャーハンターだったんですか?」

「ああ、若い頃はな」


美馬は小さく笑うと、壁に飾られている数々の写真へ視線を移した。そこには若い頃の美馬が漁船の前で誇らしげに立っている姿や、白無垢を着た女性と並んで結婚式をあげている姿などが写っている。

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紅茶 - もう最高すぎです!新一の絡みの作品はとても少ないので、とてもドキドキして愛読させてもらっています!更新を楽しみにしています! (2月22日 13時) (レス) id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら見てます!更新を楽しみにしてます! (8月1日 17時) (レス) id: 9dbed7814d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - コナン君と彼女ちゃんラブラブだね、続きが楽しみです😁 (5月13日 19時) (レス) @page25 id: 0a46edb41a (このIDを非表示/違反報告)
RINO(プロフ) - いつも見てますリクエスト募集してますか?してたら緋色の弾丸お願いしますできればですけど (2023年4月24日 10時) (レス) id: be789abdc0 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - あーむさん» わあ!ありがとうございます…!本日少し更新しましたので楽しんでいただけると幸いです〜 (2023年4月16日 3時) (レス) id: af6ae32b27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mリン | 作成日時:2023年4月3日 2時

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