31話 ページ32
「松本と伊豆山はホテルに戻っていない。島を出た形跡もないことから、どこかに潜伏しているものと思われる」
「少なくとも一人はライフルで撃たれてるはずですから、その治療も必要でしょうね」
しかし捕まるのを恐れているのか、診療所に二人は現れていないとのことだった。高木がそう報告すると、今度は千夏に尋問をした佐藤が続ける。
「ダイビングショップのオーナーの馬渕ですが、昨夜コナン君が目撃したのは逃走用の船の手配を頼まれていたところのようです」
「なるほど…」
ダイビングショップの経営だけでは経済的に苦しいようで、松本達の話に乗ってしまったらしい。しかし、彼らの行方は知らないと答えたそうだ。目暮が小さく息をつくと、今度は小五郎がビニール袋から薬莢を取り出した。それは昨晩、松本達が狙撃された現場に落ちていた物であった。
「高木君が回収したこの薬莢ですが…、かなり古いモンですから長いこと保管してあったんでしょうな」
「うむ。ライフルについては今、猟友会に確認してもらっている」
話を盗み聞きしていた夏樹は目尻を細めた。
(なるほど……。だから昨日おじさんの身体にアレが………)
夏樹が分かっているということはおそらくコナンも気づいているのだろう。無意識に口角を上げていると、ふとノックの音が響き、上平と岩永が会議室に入ってきた。
「失礼します。今連絡がありまして、猟友会の峯尾さんの猟銃が無くなっているそうです」
「その、峯尾さんというのは?」
白鳥がたずねると、上平は少し気まずそうな様子で答えた。
「一人住まいのご老人でして……ダイビングショップを経営している姪の馬渕千夏さんが、面倒をみているようです…」
「なッ……!」
それを偶然と考える者は一人もいないだろう。驚いた目暮が振り返ると、白鳥は小さく頷いた。目暮は上平に、峯尾への事情聴取と千夏への任意同行をするよう指示をだすと、彼は弾けるように会議室をあとにした。後ろで話を聞いていた岩永は、神妙な顔で目暮達に頭を下げる。
「盗まれたカットラスとピストルを取り戻してください…!お願いします!」
その様子を夏樹は厳しい目でじっと見つめる。「全力を尽くします!」と目暮が真剣に応える傍ら、佐藤は机の上に置かれた資料に視線を落とした。
「でも……、私達がここにいるのに、どうして今盗みに入ったのかしら…」
普段なら島は安全で平和そのもの。当然警察は上平一人だけである。
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紅茶 - もう最高すぎです!新一の絡みの作品はとても少ないので、とてもドキドキして愛読させてもらっています!更新を楽しみにしています! (2月22日 13時) (レス) id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら見てます!更新を楽しみにしてます! (8月1日 17時) (レス) id: 9dbed7814d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - コナン君と彼女ちゃんラブラブだね、続きが楽しみです😁 (5月13日 19時) (レス) @page25 id: 0a46edb41a (このIDを非表示/違反報告)
RINO(プロフ) - いつも見てますリクエスト募集してますか?してたら緋色の弾丸お願いしますできればですけど (2023年4月24日 10時) (レス) id: be789abdc0 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - あーむさん» わあ!ありがとうございます…!本日少し更新しましたので楽しんでいただけると幸いです〜 (2023年4月16日 3時) (レス) id: af6ae32b27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2023年4月3日 2時