13話 ページ14
袋には明らかに人間の血液と色が違う血液が付着しており、それを少量小指に取ったコナンはそっと臭いをかぐ。
「魚の血か…?」
『それが原因みたいだね』
「あぁ、薄いビニール袋に魚の血を詰め軽く封をしてジャケットの間に仕込んでおく…。水圧は10メートルごとに1気圧ずつ増えていく」
『水面で既に1気圧あるから、10メートル潜れば2気圧、30メートルで4気圧…』
そんな気圧を受ければ、薄いビニール袋の封など簡単に破れてしまう。犯人は恐らくその仕組みを利用して、数キロ離れた音も聞き分け、100万倍に埋めた血の臭いも嗅ぎ取れる嗅覚を持つサメを誘き寄せたのだろう。
「殺 人事件…」
『うん。まだ未遂だけどね…』
考え込んでいると、ふと診察室の窓がガラッ!と勢いよく開かれた。
「ごらぁ!眼鏡坊主!」
外から顔を覗かせたのは、なんと小五郎だった。あの後昼間から酒を飲んでいたようで、その頬は僅かに赤い。相当酔っぱらっているようだ。
「三人でコソコソとな〜にやってんだぁ?」
「事件だよおじさん!」
「にゃに〜ッ!?何でそれを知らせなかったんだこの…ぉ!」
コナンがそう言うと小五郎は窓から身を乗りだし、中に入ってこようとした。しかしながらべろべろに酔っている彼は足を踏み外し、ドスン!と大きな音をたてて窓枠から落ちる。呆れた三人が寝台越しに覗けば、彼は床に背をつけ反対向きにひっくり返っていた。
「この…名探偵の毛利小五郎に…」
『はぁ…』
===
「ほぉ〜…でっけぇ口だな…」
少し酔いを覚ました小五郎は、寝台の横に立ち血濡れのウェットスーツを見て感嘆の声をあげた。
「しかしなぁ?サメに食いつかれたってんじゃ、事件じゃなくて事故なんじゃねぇのか?」
酔ってるとはいえBCジャケットの細工にも気づかない彼の安定な観察眼に、コナンと夏樹は苦笑いを浮かべる。どうやって気づかせようか考えていると、見かねた哀が脈絡もなく小五郎の後ろを指差した。
「あっ!」
「あ…?」
つられて彼が振り返っている間に、彼女はサッとジャケットの間からビニール袋をもっと引っ張り出す。
「何なんだよ…「あっ」て………。おっ、なんだこりゃ?」
哀の突拍子もない行動に小五郎は怪訝そうに眉を曲げたが、ふとジャケットから見えているビニール袋を見つけ驚いた声をあげた。漸く事件だと気づいた彼に、夏樹と哀は困ったように目を合わせゆるりと口角をあげるのだった。
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紅茶 - もう最高すぎです!新一の絡みの作品はとても少ないので、とてもドキドキして愛読させてもらっています!更新を楽しみにしています! (2月22日 13時) (レス) id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら見てます!更新を楽しみにしてます! (8月1日 17時) (レス) id: 9dbed7814d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - コナン君と彼女ちゃんラブラブだね、続きが楽しみです😁 (5月13日 19時) (レス) @page25 id: 0a46edb41a (このIDを非表示/違反報告)
RINO(プロフ) - いつも見てますリクエスト募集してますか?してたら緋色の弾丸お願いしますできればですけど (2023年4月24日 10時) (レス) id: be789abdc0 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - あーむさん» わあ!ありがとうございます…!本日少し更新しましたので楽しんでいただけると幸いです〜 (2023年4月16日 3時) (レス) id: af6ae32b27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2023年4月3日 2時