9話 ページ10
「友達を捨てたから、か……」
『高木さんが佐藤さん捨てたりしたら、私が殺 すだけでなく後世まで呪いますけどね』
「す、捨てるわけないだろ!?」
焦る高木に、Aはホントかなぁ〜と半目になりながらニマニマと口角を上げて続けた。
『じゃあ、佐藤さんのことちゃあんと愛してるんですね?』
「っ、……あ、愛してるよ!!」
ふぅん?と嬉しそうに笑ったAは、ですって、佐藤さん。と付け加えた。
「…え"っ?うわっ!?さ、佐藤さん………!!」
高木の後ろに佐藤がいたのだ。彼女は頬を染めて一つ咳払いをすると、高木のほっぺたをつねる。
『はーぁ、お熱いことで』
やれやれ、と首を横にふって呆れていると、ペンションへ戻る蘭のポケットからハンカチが落ちるのが見えた。
Aはそれを素早く拾うと、蘭を呼び止めて手渡す。
『蘭さん、コレ落としましたよ』
「あっ!すみません、ありがとうございます!」
『いえいえ』
第一印象は良くしろと、いつしか組織のボスが言っていた言葉をふと思い出す。
とびきりの笑顔を作ると、コナンが彼女に下から話しかけた。
その目は、まだ何かを探っている。
「優しいんだね、Aさん」
ぐい、とスーツの袖を引かれ、Aは名前を呼ばれたことに一瞬驚いた。
そうかな?と笑い、これ以上コナンと関わるのは危険だと彼女は確信した。
小五郎に代わって推理しているのだ、この小学生…やはりただ者ではない。
まだ仕事が残ってるからと断って蘭たちから離れ、まだ言い合いをしている佐藤と高木の所へ戻った。
『あのー、痴話喧嘩してるとこすみません』
「「痴話喧嘩じゃない!!」」
『あ、ハイ。私ちょっと用があるので、先に本庁に戻っててもらって良いですか?』
「え、えぇ……」
流されるように返事をした佐藤の声を聞くと、Aはじゃっ!と言ってペンションから離れどこかへ走って行ってしまった。
「……用って……」
「何ですかね…?」
佐藤と高木は顔を見合わせると、とりあえず本庁へ戻ることにした___
===
ピ,ポ,パ__
『か〜ら〜す〜…』
Aは周りに誰もいないことを確認しながら、スマホを取り出しメールを打っていた。
そのスマホからは、あの「七つの子」のメロディが流れる。
『………からすはやまに〜……』
Aはニヤリとスマホの画面を見つめて、メールを送信した。
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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時