利益のために生きましょう【降谷零/安室透】

8話 ページ9

約１時間後、Aが高木に調べた結果を報告していると、突然あの有名な「眠りの小五郎」が出た。



どうやら犯人がわかったらしい。



Aら警察の調べによると、今日ここに来ていないもう一人の女性はAの昔の交際相手で、去年の彼女の誕生日に、自 殺したらしい。



付き合っていたAにフラれたショックが原因だった。



そしてその女性と一番仲が良かったのは、Cだった。



一方鑑識の調べより、Aの部屋にあった自 殺の時に使ったであろう踏み台と、部屋のドアと床の隙間に、何か細い糸のような物が摩擦した跡が見つかった。



更に、Aの隣部屋がB。向かいがそれぞれCとDの部屋ということもわかっている。



小五郎はこれらの証拠より、犯人はCだと突き止めた。



その場にいる全員が驚き、Aは各人の反応を見る。



すると、彼女はあることに気がついた。



(………コナンくんがいない…？)



そう、コナン以外の子供達や事件関係者はいるのに、彼の姿だけが無いのだ。



不思議に思ったAは、小五郎の推理に集中している他の人達に気づかれないよう壁に伝ってゆっくり動くと、コナンの姿を探した。



『…あ…、』



そしてその姿を見つけた瞬間、目を見開いた。



(なに、……してんの、あれ)



なんとコナンが口元に蝶ネクタイを当て、小五郎の声で喋っていたのだ。



有り得ないものを見てしまい、Aは急いでコナンから視線を反らす。



(落ち着け、多分向こうは気づいてない…大丈夫……大丈夫)



ﾊﾞｸﾊﾞｸと激しく動く心臓を落ち着かせようとするが、頭が混乱してそれどころではない。



(……待てよ…？じゃあ毛利探偵はホントに眠ってるだけで、今までのは全部コナンくんが推理してきたってこと………！？それに、あの蝶ネクタイ…一体どうなって…！？)





===


わからないことだらけで一人頭を抱えていると、いつの間にか推理は終わっていた。



犯人はホントにCだったらしい。



自 殺した女性の親友だったCは、彼女を捨てたAに強い憎しみを抱いており、彼を睡眠薬で眠らせ首吊りの状態にすると、向かいの部屋からドアの下を通して踏み台にテグスを巻き、引っ張って踏み台がずれるように細工したというトリックだった。



誕生日に死んだ思いを晴らすため、同じく誕生日に殺 したのが何とも歪んでいる。



他の刑事に連行されていくCを見ていると、不意に高木が口を開いた。

9話→←7話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す