35話 ページ36
ぐるぐると、混乱した頭ではなかなか情報の整理が追いつかない。
彼女が？
いやまさか、彼女は僕より若いんだぞ。
でも先程の意味深な視線は？
気のせいだろう、最近彼女のことを探っていたからそう感じただけだ。
スピリタスなんてそうそう飲めた酒じゃないぞ。
でも飲めないわけではないし、多種多様の世の中だ、好きな人もいるだろう。
じゃあ何で彼女は、刑事部なのに組織のことを知っているんだ？
そもそも、あのメールが本当にRAMからかなんてまだ分かっていないじゃないか。
でも、しかし………＿＿＿＿＿
『＿＿降谷さん！！』
不意に、Aの呼ぶ声が聞こえ、降谷は我に返った。
考え事をしていたせいで彼女が呼ぶのに気がつかなかったようだ。
顔をあげれば、きょとんとした顔のAと目が合う。
その手にはいつの間に貰ったのか、新しいグラスがあった。
『どうしたんですか？なんかボーッとしてましたよ』
「あ、あぁいや……何でもない」
彼女の瞳は、どうみても純粋無垢という感じだ。
とても何か裏の顔があるとは思えない。
降谷は思考を振り払うように首を横にふると、遠慮がちに目をふせた。
隣ではAが不思議そうに見つめながら、グラスの中身をちびちびと飲む。
喉に通すと、けほっ、と思わずむせて咳が出た。
その音に再び降谷が顔をあげる。
「おい、大丈夫か？」
『あはは、めちゃくちゃ薄めてもらいましたけど、やっぱり強いですねこのお酒は……』
あんまり飲めたもんじゃないです。
そう言いつつも、Aの表情はどこか嬉しそうだ。
グラスの中のマンゴージュースに混ざっているであろうスピリタスを、熱を帯びた視線で見る。
美味しくないとは言いつつも、彼女は飲むスピードを落としたりはしないようだ。
『これ直接飲むと喉が焼けるらしいですよ』
「まぁ、それだけ強いとな」
『薄めても消毒液みたいな味がするって噂です』
「その噂を広めた人は消毒液を飲んだことあるのか？」
『ですよねぇ、私もそれめちゃくちゃ気になりました』
他愛もない話にケラケラと笑うAに、思わず頬が緩む。
やはり考えすぎかもしれない。
そう思い、降谷は一度自分のグラスの中身を煽った。
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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました！是非続きをお願いします！ (2022年7月22日 1時) (
レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します！とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅２さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので！笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…！変なところで終わってしまったからですよねすみません…！コメントありがとうございました！！ (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅２(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね？そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mリン
| 作成日時：2019年6月22日 17時
