3話 ページ4
「…風見、彼女は?」
Aから目を離さないまま、その人物___降谷零は風見にたずねた。
Aはぺこり、と彼に小さく頭を下げる。
「あっ、彼女は後輩の___」
『刑事部 捜査一課所属、濱口Aです』
風見が敬語を使っているため瞬時に自分よりも上の人間だと判断したAは、もう一度降谷に頭を下げた。
ふむ、と降谷は顎に手を当て何かを考える。
「……そうか、君が風見の……__」
『…はい?』
「いや、公安部の降谷だ。宜しく」
不思議に思って聞き返すが、はぐらかされてしまった。
降谷はさりげなくAが持っていた書類の束を片手で取ると、もう一方の手で彼女に握手を求めた。
『宜しくお願いします』
降谷の所属を知らないからか、はたまた肝が座った性格をしているからか……Aは顔色一つ変えず、彼と握手を交わした。
『ありがとうございます。書類』
「いや、むしろわざわざここまで持ってきてもらったこちらが感謝すべきだ。…にしても風見、お前なに女性に手伝わせてる……」
青筋を浮かべた降谷は、風見をジロリと睨んだ。
ひぇっ、と青ざめた彼は必死に弁解する。
「いえっ、あのこれはっ、濱口が勝手に……!」
二人のやり取りを見てピーン!と何かを閃いたAは、わざとらしく肩を捻った。
『………あーぁ、風見さんが"無理矢理"手伝わせるもんだから肩凝っちゃいましたよ〜』
それを聞いた降谷のオーラが更にどす黒くなる。
はぁっ!!!?と一番焦るのは風見だ。
「ちょ、おま!何言って……!!」
Aはからかい甲斐のある先輩の様子に吹き出しそうになるのを堪えると、降谷の方を向き直った。
『では、仕事が残ってるので失礼します』
「あ、あぁ…」
「っ濱口!!」
Aのマイペースっぷりにあの降谷も流されている。
彼女はキリ、と表情を戻し丁寧に挨拶をすると、風見の止める声も聞かず、スタコラサッサーとその場から逃げるように離れていった。
そして少し彼らから離れたところで、思い出したようにくるりと振り返る。
580人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時