25話 ページ26
『_____素敵なプレゼントありがと、コナンくん』
Aが差し出したそれに、コナンはあっと声をあげそうになった。
隣にいた博士もひどく驚いてコナンとAを交互に見ている。
『でもいらないから、返すね』
Aは静かな口調でそう言うと、コナンの息が詰まる音がする。彼女は哀を一瞥すると再び固まっているコナンを見た。
まるで幽霊でもみたかのような表情をしてこちらを見ている。
『何を驚いているの?君が仕掛けた盗聴器でしょう?』
Aのその普段とおりの笑顔が恐ろしかった。
声も穏やか、表情も柔らかい。
なのに尋常じゃない威圧がコナンを襲う。
何を隠そう、Aは先日のペンションでの殺人事件のときにコナンにつけられた盗聴器を返しに来たのだ。
彼女の手によって、それは粉々になって故障している。
途中で音が聞こえなくなったとは思っていたが、やはり見つかっていたのか。
コナンは動かない身体に反するように、心の中で頭を抱えた。
暫くの沈黙が四人の間に流れる。
コナンはおそらく聞いてしまっただろう。
Aが愉快に歌う、七つの子のメロディを。
そして彼女もまたそれを分かっている。
分かっていて、わざと直接コナンに返しに来たのだ。
彼が次どう出るか、興味がわいた。
「………………Aさんは、」
先に重々しく口を開いたのは、コナンの方だった。
「…………警察なんだよね?」
探るような視線、冷や汗、
明らかに小学生がしないような表情。
『___そうだよ?』
それとは対照的に、Aはあっけらかんとした様子でそう応えた。
先程から2人の会話を黙って聞いている哀も、Aと目が合うとさっとコナンの後ろに隠れた。
Aはそんな哀を見ながら何か考えるような表情をしたあと、ゆっくりとその口を開いた。
『APTX4869…………』
ピシ、
場の空気が一瞬で凍りつく。
三人の空気が一気に変わったことに気づいたAはにんまりと笑った。
そうか、
やっぱりそういうことか。
彼女の中で仮定だったものが、確信へとかわる。
『この前の事件、眠りの小五郎が出たとき君はあの場にいなかった』
「っ……あれは、」
『見てたよ、全部』
コナンは更に目を見開いてAを見る。
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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時