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18話 ページ19

その時ふと、誰かが小さく喉を鳴らす音が聞こえる。



ドアの方を向いていた彼は勢い良く振り向き、消灯され薄暗い中目を凝らす。



すると、ベッドの一つに膨らんでいるものを見つけた。



どうやら先客がいたらしい。



意味もなくその人物に近づいた彼は、その顔を確認して息を詰まらせる。



(濱口……!何でここに…!!??)



動揺した降谷は二、三歩後ろにたじろいだ。



Aはぐっすりと眠っている。



ふとその目の下に隈があるのを見つけると、彼はなんとなく彼女に手を伸ばした___



次の瞬間






パシッ



「え」



無意識に伸ばしていたその手は、突然強い力で捕まれた。



と思った時には、身体はぐらつきあっという間に視界が一転する。



目を開けると、ベッドに押し倒され手首を捕まれて動きを封じられていた。



声をあげようとするが、降谷の上に跨がるAの前髪の隙間から覗く冷たい視線が、彼の息を止める。



何も考えていない、ただ無に包まれた凍りつくような瞳だった。



金縛りにあったように動かない身体に降谷が動揺していると、だんだんと手首を捕まれていた力が弱まっていく。



『………ふる、や…さん?』

「っ、…………あぁ」



やっとのことで絞り出した声を聞いたAの意識はどんどん覚醒していく。



そしてやっと今の状況に気づいたのか、目を見開き慌てて降谷から退いた。



『えっ、あっ!?わばばば!!!ふ、降谷さん何でここに!!!?????えっ、ちょっ、うええ??!!!』



驚きすぎて飛び退いたAは、ドシン!と大きな音をたてて床に尻餅をついた。



そのあまりに情けない姿に、それはこっちの台詞だと言いたかった言葉は飲み込まれる。



今の今まで射殺すような目付きだったその瞳は、いつの間にか通常のAのあどけない瞳に戻っている。って〜!とお尻を擦る彼女は、いつもと何も変わらなかった。



ベッドに腰かけたままの降谷は、ゆっくりと口を開く。



「濱口……今の無意識だったのか?」

『…へ?』

「だって君、寝ていたんだろう」




ピッ、と指をさせば何のことを言っているのか理解したAはあぁ、と答えた。



『昔からの癖で……寝込みを襲われないようにする護身術みたいなもんです。て言っても、大きな寝返り程度ですけど……。痛かったですよね、すみません』

「ああ、いや…謝らなくていい」

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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時

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