11話 ページ12
コナンは赤井の向かいにあるソファーから立ち上がると、ありがとうと付け加え工藤邸をあとにしようとした。
その後ろ姿を赤井が呼び止める。
「くれぐれも行動には気を付けろよ坊や………」
「…えっ?」
「警察だからといって、必ずしも味方__奴等に敵対する立場とは限らないからな……」
厳しい顔をした赤井に言われてハッとしたコナンは、しっかりと頷いた。
===
その頃、警視庁では___
『ぶえっくしょん!!!』
「あら、風邪?」
女らしさの欠片もない豪快なくしゃみをしたAを、佐藤が心配そうに見た。
ティッシュでずずず、と鼻をかむ。
『いや、風邪とか滅多にひかないはずなんですけど………』
誰かが噂してんのかも、とAは日が落ちかけている外を見つめた。
報告書を作成していた手を休め、デスクの引き出しをおもむろに開ける。
異動したてであまり物のないその中には、ポツンと小さな機械が置かれていた。
それは、先日コナンがAにしかけた盗聴器だった。
彼女が踏み潰したことによって、かなり破損している。
Aはそれを取ると、目をスッと細めて小さく呟いた。
『………あんのクソガキ……』
その声は誰にも聞かれることなく、空気の中へ自然と消えていった___
===
それから数日後
近くの銀行で起きた強盗事件の調査書を作り終えたAは、ふとポケットの中で震えたスマホを手に取った。
届いていたメールの内容を見て、彼女は目を見開く。
ガタッと勢いよく立ち上がり、近くを通っていた白鳥の肩がビクリと揺れた。
「ど、どうしたの?」
『……………佐藤さん』
デスクに手をついてうつむいたAは、重い声で佐藤に聞いた。
『調査書って、これで終わりですよね?』
「え、えぇ…………そうだけど」
返事が来るや否や、彼女はバッグと上着を勢いよく持って頭を下げる。
『すみません、私急用ができたのでお先に失礼します!!』
「えっ!?あっ、ちょっとA!!!」
一方的に伝えると、彼女は物凄いスピードで一課から出ていった。
止める間もなかった佐藤の手が空を切る。
「……行っちゃいましたね」
「…行っちゃった……」
一部始終を見ていた高木が、Aが去っていった方を見ながらボソリと呟いた。
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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時