６月１日 ページ3
雲一つなく晴れた蒼が埋めていた空に灰色の雲が点々と流れ始める。
少しずつだが、水の匂いも漂い始めた。
べとつく程の熱い日差しを気にすることもなく少し冷えた風が肌を撫でた。
だんだんと暑さを閉じ込めるように厚い雲が覆い始める。
先ほどまでの明るさが嘘のように薄暗い影が落とされた。
自分の影はどれだろうか。
なんて、しているうちに地面が濡れ始める。
急いで屋根の下に入る人、傘をさす人。
たいして意味もないのにカバンを雨よけにする人。
上着を頭にかぶる人、走って先を急ぐ人。
先程まで同じような動きをしていた人達が各々異なった行動を始める。
上から眺めていたら、蟻の行列に水滴を落とし、邪魔をしたような感じであった。
「こんなとこで何してンだ」
自信にかけられたであろうその声に振り返れば一人の男性が居た。
夕焼けのような髪に黒を基調とした服装。
なにより、彼のために用意されたような帽子が特徴だろうか。
「水も滴るいい男、ですね」
望んだ答えは得られないどころか、予想外の返しに溜息をこぼす。
人と話すのは久しぶりどころではない。
何を返したものか、と悩んでいれば彼のほうが口を開く。
「此処で、何してたンだ」
「人の動きを見てました」
人？と一言零し、こちらへ歩を進める。
濡れた柵に肘を置いて下を覗き込む。
色とりどりの水玉が歩道を埋め尽くし動いている。
「面白いか、これ」
詰まらなそうに口を開く。
昔、大きな建物が初めてできた時はとても奇怪であった。
だがもう何回目だ、同じ風景は。
「見飽きました」
ふーん、と曖昧な返事が返ってくる。
体を起こしてこちらを振り向けば携帯を取り出す。
少し確認をしたのか、すぐに
ふと、体に違和感を感じた。
雨が止むときの感覚だった。
そっと柵へ近づいて身を乗り出す。
「もう晴れるので、行きますね」
落ちるように前に重心を移動させる。
落下している途中、雨が止む。
それと同時に私は水に弾けた。
空から光が差し込んだことだろう。
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羽夜(プロフ) - おとーふくんさん» 小説を好きだと言ってくれてありがとうございます。完結するかは分かりませんがゆっくりと続きを書いていこうと思いますので、覚えていましたら応援してくださると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2021年10月8日 2時) (
レス) id: 152f9f4ea8 (このIDを非表示/違反報告)
羽夜(プロフ) - おとーふくんさん» 約1年越しに好きと言ってくださってありがとうございます。長く放置してしまいましたがモチベも戻り言葉の数も自分では増えたと思います。返事が遅くなりすみませんでした、放置しておりましたがまた少し頑張ってみようと思います。 (2021年10月8日 2時) (レス) id: 152f9f4ea8 (このIDを非表示/違反報告)
おとーふくん(プロフ) - 今の日本に似てる感じが好きです！！もっと早くにこの作品の存在知りたかった... (2020年7月28日 21時) (レス) id: 2f2d7a1768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽夜 | 作成日時：2019年8月5日 17時
