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エバーグリーン【花巻貴大】 ページ27

薄暗闇に規則正しく打ち寄せる波の音が心地いい。パチパチ、と握った手の数十センチ先で小さな明るい光が煌めいた。

「うわ、超綺麗」
「俺にも火ちょーだい」
「おい危ねぇから振り回すなって」

「ん、」

見つめるだけの私に、騒ぐ3人を横目に花巻が手持ち花火をひとつ差し出す。夏が来た、と思った。いつものように4人に混じって、いつもはやらない花火、非日常。その響きがなんだかくすぐったくて、思わず笑みがこぼれる。

小さく漏れた声に、花火に火をつけていた花巻が振り向いて、視線がかち合った。その瞬間に、彼はふ、と頬を緩ませて、またすぐに火を向く。
夜と言えど、夏は暑い。


「マッキーたちも早くこっち来なよ。それ持ってさ」

しゃがんだまま、派手に暴れだした小さな花火を見ていた花巻と、ぼうっと突っ立って花火を握りしめては、ただ彼の方を見ていただけの私を、及川が呼ぶ。

ちら、と花巻が私を見上げて、ほんの一瞬、また視線が交わった。どちらからともなく、にぃっと口角を上げて、それから3人の元へと駆けだす。手にした光で、空を彩りながら。

幼い頃に戻ったみたいだった。いつからか、こんな小さな花火なんて紛い物だとか、単なる炎色反応でしかないだとか、どうも素直になれなかった私がいたことを思い出した。

たまにはこういうのも悪くない。何にも考えずに、綺麗なものを綺麗だと、心のままに笑うのも。

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(プロフ) - しおさん» わ、しおさん!!ありがとうございます!!!!!!嬉しいです!!!!!! (2020年5月17日 21時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - コメント失礼しますとてもファンです。いつも素敵なお話をありがとうございます。最高です!!!!! (2020年5月17日 20時) (レス) id: 2d9a1a0004 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月17日 20時

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