104 ページ25
＿＿＿＿＿＿
「な、なんでそんなこと隠して．．．」
体育館に、溝口の声が響いた。
その声は固い。
その戦力があれば、白鳥沢に．．．と思わなかったかと言われれば、それは嘘ではない。
「．．．一つ言いますけど。」
Aの声が体育館に響く。
「私たち、わざわざ東京から宮城に来てるんです。．．．白鳥沢に入るために。」
その言葉に、あちこちから驚きの声が漏れる。
「今の家だって鷲匠監督に白鳥沢に近いとこわざわざ探してもらったところだしな」
遥人の付け足しに、じゃあどうして青葉城西に。と疑問が生まれる。
「中学時代無名の私たちを見つけて推薦してくれた鷲匠監督には感謝してます。でも、私たちは白鳥沢にはいない。」
二つの眼が、青葉城西の方を捉える。
「鷲匠監督に絞られるの覚悟で青葉城西に入学したんです。」
「げ、あの人怖くね？いや監督よりはマシだけど。」
「全国でよく怒ってるの見る」
「ミスったときにお前の腕は何のためについてるぅ！！飾りもんかァ！？って」
「春休み毎日練習強制参加させられた。鬼練。でもぶっちゃけ監督の方が鬼。まじ鬼畜あのドＳ」
「なのになんで実力を隠すようなことをしたのか。もしわからないのなら！私たちが一緒に試合で戦うことは無いと思ってください。」
後ろでぺちゃくちゃ喋る早風を無視して、Aが声を大きくして言った。
その時、体育館の扉が開き、誰かが入ってきた。
「おーおー。空気ぶち壊しにしてるじゃねえの。すみませんね、うちの阿保共が。」
40代くらいの男。
「げっ、監督！」
「さっきは聞き捨てならねえ言葉も聞こえたしよお。なんだっけなあ。鬼畜？ドＳ？」
八雲に監督、と呼ばれた男は何かを企むような笑みを浮かべた。
「いい根性してるじゃないのお前ら。」
「いやいやいやいや！鬼畜なんて思ってませんよ！」
「うんうんうんうん！本当に！」
「一体どうしたんですか？あ、もしかしてお迎え？あはは、嬉しいな監督ありがとう！！」
「ほら行くぞ監督待たせちゃダメだって！」
慌てて出ていく早風。
呆けるAの手を遥人が握り、一礼して出ていく。
呆気にとられる周りに向かって、監督が言った。
「バレーは誰でも、いつでもできるものじゃない。時間も有限じゃない。．．．それをまず理解しないとだな」
＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぃ(プロフ) - 闇音さん、コメントありがとうございます。以前登場人物の名前変換設定で失敗してしまった時のが残っていると思われます、、意図的ではありません(><)ご指摘ありがとうございます！バクなのか何度訂正しても文字化けしてしまうみたいです、、また訂正してみます (2023年4月24日 19時) (
レス) id: 059539aecb (このIDを非表示/違反報告)
闇音(プロフ) - 初コメント失礼します。何ヶ所か文字化けしているところがありましたが、意図的にされているのでしょうか？ (2023年4月18日 0時) (レス) @page19 id: 4b6499a764 (このIDを非表示/違反報告)
噂のキャンディー(プロフ) - 遥人ォォォォォ！カッケェっす！夢主ィィィィィー！幸せになってね！号泣しました、この作品を作ってくれてありがとう！りぃさん！ (2022年8月7日 9時) (レス) @page50 id: 527420b84e (このIDを非表示/違反報告)
アバラボネ - あ〜泣く〜やばいっすまじで泣くなんかもう大好き！！あ〜好き、語彙力失っててすいませんちょっとつかまえに行ってきますとにかく！！この作品が最高すぎましたありがとう！！！ (2022年8月1日 23時) (レス) @page50 id: 8c98ac490b (このIDを非表示/違反報告)
椿 - めっちゃ面白いです！！がんばって下さい！！遥人が好き過ぎる (2022年7月28日 18時) (レス) @page49 id: 3764804c56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぃ | 作成日時：2021年12月30日 4時
