再会は突然に ページ9
(Aside)
ただ任務で、一人だけ東京に残っていた。
駅に向かおうと慣れない住宅街で迷っていただけだった。
「友達もいないお前をよく構ってやったろ、それなのに葬式にも出ないで…一緒に行ってやるから線香だけでも上げに行こう。」
ふくよかな体型の人…多分、話しかけている男の子の先生がそう言ったのに対して、男の子は正気じゃないとでも言いそうな顔をしている。
そして男の子は何かをブツブツと喋り始めた。きっとその人に対する恨み辛みの言葉だろう。
「何をブツブツ言ってんだ?引きこもっておかしくなったか?なんてアハハ」
そこでもう俺も男の子もだめだった。
『すみません、横から急に。君のお話、聞いていいかな?』
俺はきっと兄上が、傑兄が、兄様がいなかったらとっくのとうに捻くれていただろう。
お節介かもしれないけど、ほっとけなかった。
話だけでも聞いてあげたかった。
これはただの憶測だけれど、きっと仲良くなんて無かったのだろう。寧ろ、虐められてたんじゃないかとまで考えている。
それほどまでに亡くなった彼らは男の子にとって恨みが深い人なのだろう。
もうひとつ、話を聞きたい理由は男の子の体に微弱の残穢が残っているからだった。
たぶん相手方も上手く消したつもりなんだろうけど、天与呪縛の影響か分かった。
それも、4級から2級までのではなくて、1級…下手したら特級の残穢。
放っておける、わけが無い。
男の子は俺の制服のボタンをまじまじと見ていた。そんなに珍しいかな、これ。
あ、格好が不審者ぽかったかな。
その時だった。
「ストーップ!!!」
桃色の髪が何故か兄上を彷彿させるような人だった。
蠅頭を持っている。
「なぁちょっと聞きたいことあるからさ、面かして」
そしたら、その人は俺を見て、何故か涙を流した。
***
男の子…吉野順平くんともう一人、桃色の髪の虎杖悠仁くんの会話はすぐ終わったようだった。
「悪い、呼びかけたのは俺だけどちょっとこいつと話していいかな?待ってて!」
虎杖くんがそう吉野くんに言ったが早いか虎杖くんが俺の腕を掴んで、「契闊」と虎杖くんでは無い何か別の、酷く懐かしい声が聞こえた。
瞬間、虎杖くんに痣のようなものが浮き出て俺のマスクを取り、フードを取った。
「久しいな、A。」
そう言って、優しさの欠片もないように笑うその人を俺はよく知っていた。
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だしまきたまご(プロフ) - Jさん» いつもコメントありがとうございます!エンディングはまだまだ先になりそうですが、色々調整しなければいけないのでアンケート取らせていただきました。全部書くことになりそうですが頑張ります! (2021年4月3日 23時) (レス) id: c9e7413bf3 (このIDを非表示/違反報告)
J - エンディング頑張ってださい。 (2021年4月3日 3時) (レス) id: 42cc688081 (このIDを非表示/違反報告)
だしまきたまご(プロフ) - うむさん» 唐突な告白貰っちゃいました...!ありがとうございます、頑張ります〜! (2021年3月22日 0時) (レス) id: c9e7413bf3 (このIDを非表示/違反報告)
うむ - 好きです(唐突)この後の展開が気になる・・・無理のない範囲で更新がんばれです!!! (2021年3月21日 11時) (レス) id: 7feb1ef4d4 (このIDを非表示/違反報告)
J - 無理せず頑張ってください!応援してます! (2021年3月21日 2時) (レス) id: 42cc688081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だしまきたまご | 作成日時:2021年3月17日 10時