光芒の決意。 ページ35
(虎杖悠仁side)
「虎杖、大丈夫か?」
伏黒にそう声をかけられた。
大丈夫か、と言われれば全然大丈夫だ、俺は。
「おーっなんか大役っぽいけどなんとかなるべ。」
そうだ、きっとなんとかなる。
俺は、なんとかなる。
「そうじゃねえ、何かあったろ。」
「あ?なんもねーよっ
……あった。」
伏黒の問いになんもないよ、と答えてそれから…あった、と答えた。
ナナミンと順平と禪院先輩がいる病院にお見舞いに行ったその次の日、もう一度順平と一緒にお見舞いに行ったんだ。
そこに禪院先輩はいなかった。
酷い怪我のはずなんだ。
医者は外傷が酷いわけじゃないって言ってたけど、左腕の抉られた傷はちゃんとした消毒もされていなくて肺も心臓も凄くゆっくりとしか機能していなくて内部に傷がいくつもあるらしい。
走り回ったり、呪霊と戦ったりすることなんて絶対に難しい筈なのに、いくら禪院先輩が強くても難しいはずなのに五条先生の一個下の特別一級術師なんて相当な努力と根気が必要だ。
先輩は今日も呪霊を何体か祓ってきたらしい。
顔を隠した先輩は未だに包帯を外していなかった。
なあ先輩、禪院先輩。
なんでそんなに自分のことを蔑ろにできるんだよ。
先輩は死ぬことを躊躇しない。
それが誰かの為になるなら笑って死ぬだろう。
禪院先輩が必要な人たちは多すぎるほど、沢山いることをなんで分かんないんだよ。
水晶のことを宿儺に聞いたんだ。
それが持ち主の死を一度だけ回避させてくれること。
呪具かと思ったらその水晶を先輩が作ったものだということ。
それを聞いた時はただただすげぇって、順平は禪院先輩が渡してくれた水晶のおかげで死ななかったんだって思ったら先輩には感謝しかなかった。
でもさ、それを作ることの代償が禪院先輩の寿命なんて聞いてねぇよ。
体力も呪力も多すぎる程消費するからあの時倒れたんだって。
先輩はあの時ふたつ水晶を手渡してくれた。
ひとつ五年分と言っていたから、もう先輩の寿命は十年無くなった。
先輩、先輩。
俺も順平もそんなことされてまで助けてもらいたいわけじゃねぇんだよ。
もっと自分自身のこと考えてくれよ。
「あったけど、大丈夫なのは本当だよ。むしろそのおかげで誰にも負けたくねーんだわ。」
大丈夫だ、俺は。
でも先輩はきっと大丈夫じゃない。
だから、先輩に心配かけないくらい強くなって誰にも負けねーから。
先輩のことも助けるから、だから待ってて。
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だしまきたまご(プロフ) - Jさん» いつもコメントありがとうございます!エンディングはまだまだ先になりそうですが、色々調整しなければいけないのでアンケート取らせていただきました。全部書くことになりそうですが頑張ります! (2021年4月3日 23時) (レス) id: c9e7413bf3 (このIDを非表示/違反報告)
J - エンディング頑張ってださい。 (2021年4月3日 3時) (レス) id: 42cc688081 (このIDを非表示/違反報告)
だしまきたまご(プロフ) - うむさん» 唐突な告白貰っちゃいました...!ありがとうございます、頑張ります〜! (2021年3月22日 0時) (レス) id: c9e7413bf3 (このIDを非表示/違反報告)
うむ - 好きです(唐突)この後の展開が気になる・・・無理のない範囲で更新がんばれです!!! (2021年3月21日 11時) (レス) id: 7feb1ef4d4 (このIDを非表示/違反報告)
J - 無理せず頑張ってください!応援してます! (2021年3月21日 2時) (レス) id: 42cc688081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だしまきたまご | 作成日時:2021年3月17日 10時