# ページ47
『…そういうの、いいって…』
そう言ったらタケくんに髪をぐしゃぐしゃーってされるように頭を撫でられて、乱暴な感じがらしいな、なんて思って。
「おーおー、いっちょ前になっちまって」
『そりゃ二年も経てば成長しますー！！』
「身長は全然っぽいけど」
『う！る！さ！い！』
冗談だとか軽口だとか、そういう言葉を次々言われて笑って、笑って、ちょっと返して、笑って。
＿＿＿＿＿＿気づいたら、泣いていた。
『…あ、れ？…待ってね、ごめんね、違うから、っちがう、から』
なんで？
おかしい、なんで？
何やってんだよ、何泣いてんだよ。泣いてばっかでどうすんだよ。
ぐい、と袖で涙を拭う。
『あの、違うの、何かあった訳じゃなくて、違くて』
たぶん、ちょっと感極まっちゃっただけ。
東卍のみんなといるのが辛かったとかじゃなくて、多分ちょっと疲れちゃっただけで、タケミっちが帰っちゃうのが悲しかっただけで、久しぶりにいっぱい笑っちゃっただけで。
「…A、何があった？オレらが聞いたのは、お前が救急車で運ばれたあと、愛美愛主の奴らと東卍が抗争したらしい。」
『え…？嘘、抗争！？なんで…他、他に怪我した人とか…！』
「いーや、お前以上に重症なやついねぇよ。…何あったかしんねぇけど無茶しすぎじゃね？」
ワカくんのその言葉に安堵して、無茶なんてしてないよ、と返した。
だって、ほんとに無茶じゃないんだもの。
確かに頑張るのは辛かったり、苦しかったりする。
だけど、誰かが死なないためなら無茶だとは思わないし、むりしてるわけでもない…から、たしかに痛覚があったら今よりもかなりしんどいかも。
でも、だいじょうぶ。
『…無茶じゃないから大丈夫だよ。まあ、ちょっと刺されちゃっただけだし、すぐすれば治るでしょ。安心してよ！』
いつから、上手く笑えなくなったか。
いつから、気持ちを押し殺して笑えるようになったか。
…そんなの、わかんないけど。
『…次、ね。もう少ししたら、死んじゃうかも、俺。…なんで約束守ってくれなかったのってさっき言っちゃったけどさ。…俺の方こそ、守れそうにないや。』
そう言って俺は、笑った。
口にしたのは俺だけど、少しでも言葉が軽くなるように。重く、捉えてもらわないために。
……冗談だと、思ってくれるといいなぁ。
なんにも言わないで、笑ってくれるだけで、充分。
むしろ、それがいい気がした。
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なんばん - すごく面白いです！ドストライクです！書いてくれてありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2021年6月2日 1時) (
レス) id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
Kira(プロフ) - いつも読ませていただいてます。面白くて大好きです。これからも頑張ってください!! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 5ee4acc04b (このIDを非表示/違反報告)
るい - とっても面白いです！！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: b95688f803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だしまきたまご | 作成日時：2021年5月18日 2時
