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「Aっ！」
『…マイキー…そんな顔、らしくないよ？』
病院のベッドから起き上がって椅子に座っていたマイキーの顔を見てそう言った。
焦った顔も必死な顔も、いつぶりだろう。
ほんとにほんとに、らしくないよ。
「…心配させんなよな。」
『へへ。ごめんね。』
「A君っ！もう、死んじゃうんじゃないかって＿＿」
タケミっちがそう続けようとした時だった。
コンコン、とノックの音と共に病室のドアが開く。
長い黒の長髪と、ヒールの音。
記憶に薄らと残るその人は。
『…か、あさん』
「…A、お医者様から聞いたわよ。なんでこうなったか、説明しなさい。」
なんで？こっちが聞きたいよ。なんでずっと、ずっと帰ってこなかった母さんがここに、日本にいるわけ？
「…A君のお母さん！？」
「それからどうして髪を染めているか、耳にピアスをつけているのか、こんな人達とお友達なのか全部説明しなさい。」
母さんって、こんな人だったっけ。たった10年も、10回やれば100年だ。
俺は10回以上繰り返しているから、母さんとは100年以上会っていないことになる。
…今更、母親気取りかよ。
ずっと会ってない息子に開口一番に言う台詞がそれかよ。
『…母さんこそ、なんで急に帰ってきたの？』
「仕事がひとつキャンセルになったからよ。また明日の便で父さんの所へ戻るわ。…ほら、説明をしなさい。」
『…こうなったのはなんでかって、そんなの俺が聞きたいよ。お祭り行ってただけだし、後ろから角材で殴られて刺されて。…俺になんでって聞いて、なにか分かると思う？』
すぐ戻るなら日本帰ってこなくてよかったよ。
俺だって、なんでかなんて俺だって聞きたい。
今回は俺だったからいいけど、前だったらケンちゃんだったんだ。
…なんで、ケンちゃんが殺されなくちゃ行けなかったんだろうね。
「理由なんて明白でしょう。こんな典型的な不良とつるんでいるからよ、髪まで染めちゃって。」
『…俺は、みんなが無事でそれで充分だ。俺は、それが理由だなんて思わない。髪を染めたからって俺の何かが変わるわけじゃない。…母さんは分からないと思うけど、全てなんだ。友達が、マイキーが、俺の全てなんだ。
東卍のみんなが、マイキーが、笑ってくれてれば。俺の大好きな人の幸せが、俺の幸せなんだ。』
ああやっぱり、俺は涙脆くて叶わない。
マイキーの前なのに、泣いてしまう。
泣かないって、決めたのに。
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なんばん - すごく面白いです！ドストライクです！書いてくれてありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2021年6月2日 1時) (
レス) id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
Kira(プロフ) - いつも読ませていただいてます。面白くて大好きです。これからも頑張ってください!! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 5ee4acc04b (このIDを非表示/違反報告)
るい - とっても面白いです！！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: b95688f803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だしまきたまご | 作成日時：2021年5月18日 2時
