不死身の君と、その孤独。 ページ15
(花垣武道side)
「マイキーとドラケンが喧嘩した」
「A君は"所在不明"」
そんなことをエマちゃんから聞いた。
マイキーくんとドラケン君が喧嘩したのは、パーちんが捕まったから。
A君は…分からない。
何しろ家もほとんどの人が分からないらしくて、オレは知っているけど。
マイキー君が何も言わないってことは二人の間になにかあったのか。
そう思ってオレは、A君の家に行くことにした。
『タケミっち、いらっしゃい。』
そう言って家の扉を開けたA君は笑ってはいるけれど、目が腫れていて、寝ていないのか隈も出来ていて。
それから、随分悲しそうな顔をしていた。
「お邪魔しまーす…」
A君の部屋は階段を上がって突き当たりを右に行ったところ。
部屋の壁一面にメモが貼ってあって、膨大な量のファイルと本が本棚と机の上にある。書類が入ったクリアファイルも机の上に散乱していた。
『散らかっててごめん。…あの時言ってた誰かが裏で糸を引いてるって言うやつ話すの遅れたね、ごめんね。』
「いや、大丈夫ッス」
『調子どう？守れなくてごめんね。ごめん、ほんとにごめんなさい。役立たずでごめんね。』
今にも泣き出しそうだった。
何かを思い詰めていて、本当に泣きそうで、震えていて。
話を聞かない訳にはいかなかった。
「A君、何があったの？マイキー君となにか…」
『俺が、俺が悪いの。俺、なんにもできてないの、東卍のためになんにも。でもマイキーとケンちゃんに喧嘩して欲しくなくて、でも止められなくて、どうすればいいかわかんなくて。…俺じゃだめなんだ。ずっと、何回やってもずっとだめなんだ。』
A君が噛んだ唇からは血が出ていて、それに気づかないようにA君は唇をさらに強く噛んだ。
『俺もう無理だよ。こんなに調べても、俺がやれることをやっても、なんにも上手く行かないんだよ。何が正解かわかんないの、これで良かったのか俺はずっと悩んでる。もしかしたら最初から、俺がみんなと出会うところから間違ってたんじゃないかって。』
そう…この多すぎるほどのメモもファイルもクリアファイルの書類も、本も、全部全部A君が東卍のために調べたものだった。
いつか使う日が来るって信じて、何かの役に立つかもしれないから全部調べて残してるといつかのA君はそう言って笑っていた。
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なんばん - すごく面白いです！ドストライクです！書いてくれてありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2021年6月2日 1時) (
レス) id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
Kira(プロフ) - いつも読ませていただいてます。面白くて大好きです。これからも頑張ってください!! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 5ee4acc04b (このIDを非表示/違反報告)
るい - とっても面白いです！！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: b95688f803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だしまきたまご | 作成日時：2021年5月18日 2時
